■土師器(はじき)
縄文時代の土器は縄文土器、弥生時代の土器は弥生土器、では古墳時代からの土器は…?何と呼ばれるか、ご存知でしょうか。古墳時代から、奈良・平安時代にかけて生産される、素焼きの土器を「土師器」と呼びます。
縄文土器以来の技法で作成され、粘土や砂をこねて生地をつくり、輪積(わづ)みやロクロで成形し、ケズリやナデなどの器面調整を行ったのちに乾燥させ、野焼きで焼成します。比較的軟らかく、長く置いておくと水は浸透してしまいますが、火にかけて「煮る」ことができるのが大きな特徴です。日々の生活に用いられた土師器の器種には、お碗としての坏(つき)、貯蔵具としての壺(つぼ)、調理具としての甕(かめ)、供膳具(くぜんぐ)の高坏(たかつき)・鉢(はち)などがあります。さらに儀礼の場で使用される坩(かん)や二重口縁壺(にじゅうこうえんつぼ)などもあります。
土師器という名前は『延喜式(えんぎしき)』などの文献に由来するもので、土師器は「はじのうつわもの」などの言葉を呼びやすくしたものです。
奈良・平安時代には、主に土師器に墨で文字や符号などを書いた墨書(ぼくしょ)土器が出現します。中世・近世ではさらに小型化し、かわらけ(土師質(はじしつ)土器)などに代わっていきます。特に古代の東北地方から那須地域では、坏の内面に炭素を吸着させ磨いた内面黒色(ないめんこくしょく)土器が多くみられます。
土器は時代・地域の違いを反映して、様々な形がつくられています。
問合せ:なす風土記の丘湯津上資料館
【電話】0287‒98‒3322
<この記事についてアンケートにご協力ください。>