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市史編さんだより vol.45

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栃木県大田原市

■自然部会調査速報(14)~コイは外来種?~
日本人にとってコイは文化的にも付き合いが古く、最も身近な淡水魚の一種です。古くは格の高い食材で、昨年放送された大河ドラマ「どうする家康」の中でも、料理に使われた淀川のコイをめぐってトラブルが起こった、有名なエピソードが描かれています。江戸時代にはコイの養殖が各地に広まり、観賞用の錦鯉の養殖も始まっています。中国大陸からのコイの移入は大昔から行われていたようですが、明治時代に入るとヨーロッパ、中国などから多くの大陸由来のコイが入って、今日まで続くコイの産地となりました。
2000年代に入ると、遺伝子解析により、日本在来のコイが琵琶湖の北部に現在でも生息していることが明らかになりました。それ以外の地域のコイは外来種と交雑が進んだり置き換わったりしたものと考えられます。
近年、生物多様性の観点から生態系の保全が重視されるようになり、寿命が長く旺盛な食欲をもつコイが新たに侵入すると、その生態系に大きな影響を及ぼすことが問題となっています。また、2003年に海外から侵入したコイヘルペスウイルスがコイ養殖業に大きなダメージを与えたことがきっかけで、魚病のまん延を防止するためにコイの放流は全国的に禁止されるようになりました。
日本庭園や日本各地にある小京都、小江戸と表現される景観を紹介する旅番組の映像には、コイの泳ぐ池、堀、水路がよく登場します。私もこのような映像に癒されます。日本にはすでに外来種が根付いていますが、まちづくりや観光のためでも、新たにコイを放流しようとすると問題となります。ヒトとコイとがよりよい関係でいられるように、コイのことをもっと知る必要がありそうですね。
(自然部会 小川浩昭)

問合せ:文化振興課 A別館2階
【電話】0287‒47‒5031

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