「絵本譬喩節3巻」:下毛栃木小袖裾長
出典:国立国会図書館ウェブサイト(【URL】https://dl.ndl.go.jp/pid/2533137/1/9)を加工して作成
今回は、蔦重・歌麿と栃木を結びつける作品を1つご紹介します。「絵本譬喩節(えほんたとえのふし)」という天明9年(1789)正月に刊行された墨摺絵入狂歌本(すみずりえいりきょうかぼん)です。当時の人々に広く言いはやされていたことわざを選び、それに合わせて絵と狂歌(きょうか)を作成したものです。蔦屋重三郎が企画編さんし、喜多川歌麿がそれぞれに合わせた絵を描いています。3冊で構成され、24のことわざが取り上げられています。
ここには、下毛(しもつけ)と明記された狂歌師が3人登場します。「水心あれば魚こゝろあり」下毛駒朝早(こまのあさはや)、「河向の喧嘩」下毛栃木小袖裾長(こそですそなが)、「犬の河端」下毛酒桶数有(さかおけかずあり)の3名です。さらに、下毛と記述されていませんが、他の資料から「百貫のかたに笠一ツかい」友江笹丸(ともえささまる)も下毛の狂歌師とわかっており、併せて4人の下毛の狂歌師の狂歌が掲載されています。宿屋飯盛(やどやのめしもり)、鹿津部真顔(しかつべのまがお)といった当時江戸で一流の狂歌師が名を連ねる中に、これだけ多くの下毛の狂歌師がでてくるのは、特筆すべきことといえます。
さて、この作品に出てくる小袖裾長ですが、他の狂歌絵本や狂歌本にも登場する栃木の狂歌師です。ここでは、「花に吹 風によしのゝ 川向ひ 喧嘩にしても ちらさセはせじ」という狂歌が載せられ、そこに歌麿が「桜が満開のもと川向こうで取っ組み合いの喧嘩をする馬方衆3人と、対岸でそれを止めようとする馬方」の様子を描いています。小袖裾長とはどのような人物だったのか。
この作品資料はとちぎ歌麿交流館で展示中です。ぜひご覧ください。
問合せ:歌麿を活かしたまちづくり協議会事務局(蔵の街課内)
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