鹿沼市と東京都墨田区との交流は、旧粟野町時代の昭和五十三年に墨田区の校外学習施設「あわの自然学園」が上粕尾地内に開設されたことをきっかけに始まりました。交流を深めていく中で、旧粟野町時代に相互友好協定を結び、鹿沼市・粟野町の合併後の平成二十四年に友好都市提携をしています。広報紙でお互いの区と市を紹介する紙面交換企画も、今年で七回目を迎えます。
今回は、新千円札に葛飾北斎の作品「冨嶽三十六景神奈川沖浪裏」が採用されるなど、今なお多くの人々を魅了し続ける「葛飾北斎」ゆかりの地としての墨田区を紹介します。
■「葛飾北斎」とは?
日本を代表する浮世絵師。墨田区に生まれ、およそ70年にわたり描き続けた作品は、没後175年を経た今日も、ますます高い評価を得ており、世界の偉大な芸術家としても広く注目されています。
■今回紹介する「葛飾北斎」ゆかりの地
「すみだ観光ガイドの会」、「墨田区観光協会」の職員さんに葛飾北斎ゆかりの地をご紹介いただきました。
・墨田区観光協会 大山智子さん
・すみだ観光ガイドの会 中村庸司さん
今回ご紹介する葛飾北斎ゆかりの地は、「すみだまち歩きガイドツアー」(毎週金・土・日に実施)の「両国歴史コース」や「両国北斎コース」でご案内しています。
詳しいスケジュールは、墨田区観光協会のホームページでご確認ください。
(1)回向院(えこういん)
明暦3(1657)年に発生した「明暦の江戸大火」で亡くなった方を合葬・供養するため建立されました。
北斎はこの回向院で、大きな布袋尊の絵や、米一粒に雀2羽を描いたという逸話があります。
(2)両国橋
北斎は隅田川両岸の景色を描いており、それに狂歌が添えられた「絵本隅田川両岸一覧」という作品があります。全3冊からなる絵本で、隅田川を上流へ遡り情景を描き出しています。
(3)吉良邸跡(本所松坂町公園)
ご存じ「忠臣蔵」の舞台となったお屋敷です。元禄15(1702)年に赤穂浪士が本所の吉良邸に討ち入り、主君の敵をとりました。
この討入の際、吉良側の家老で討ち死にした小林平八郎は、北斎の母方の曽祖父であったという話があります。
(4)本所割下水(ほんじょわりげすい)
北斎は、宝暦10(1760)年に、本所割下水(現在の北斎通り)周辺で生まれました。
(5)すみだ北斎美術館
平成28(2016)年11月に、郷土の偉大な芸術家である北斎の顕彰と、地域活性化を目的に開館しました。
北斎とその門人の作品を紹介するほか、北斎と墨田区の関わりなどを分かりやすく伝えていくため、展覧会をはじめ、さまざまな普及事業を行っています。
▽ご利用案内
開館時間:午前9時30分~午後5時30分(入館は午後5時まで)
休館日:毎週月曜日(月曜が祝日または振替休日の場合は、その翌平日)、年末年始
上記以外にも臨時休館する場合があります。
・AURORA(常設展示室)観覧料
1.一般 400円
2.高校生、大学生、専門学校生、65歳以上 300円
※詳しくは、すみだ北斎美術館公式ホームぺージをご確認ください。
■「すみだ北斎美術館」の職員さんにお話を伺いました。
・副館長 和田幸恵さん
・主任学芸員 奥田敦子さん
当館は、北斎が生まれたとされる北斎通りに面した場所にあり、「葛飾北斎」という偉人をさまざまな切り口で紹介しています。3階・4階では、数え90歳まで生きたとされる北斎の生涯を画号ごとに紹介した常設展に加え、その多彩な作品をテーマごとにスポットをあてた企画展も実施しています。
世界的に有名な北斎ですが、実際に来場者も外国の方が多く、体感ですが6~7割はインバウンドではないかと思います。特に、「冨嶽三十六景の波が見たい」という人が多いですね。また、新千円札採用を記念した特別展のときは、夏休み期間であったことから、子どもへの教育を目的に家族連れも多くいらっしゃいました。はじめて来館したという人も多く、新千円札への採用が、北斎に興味をもっていただくいい機会になったと感じています。
北斎の作品は、「冨嶽三十六景」が注目されがちですが、他にも魅力的な作品が数多くあります。現在開催中の常設展プラス「隅田川両岸景色図巻(複製画)と北斎漫画」では、全長約7mに及ぶ「隅田川両岸景色図巻」の高精細複製画や、今月の逸品として北斎の錦絵シリーズから1作品、『北斎漫画』をはじめとする北斎の絵手本(実物)のほか、レプリカを約15冊展示しています。特に「北斎漫画」は手に取って見ることができるので、おすすめです。
北斎は多彩な作品を手掛けていることから、子どもからご年配の方まで、自分の好みの作品を見つけることができると思います。また、絵に生涯を捧げた北斎の生き様も魅力の一つであり、お越しいただいた際は、そのような北斎の人物像についても想いを馳せていただければ幸いです。鹿沼からのご来館をお待ちしています。
■次回開催の企画展のご案内
江戸時代に流行した絵暦を展示し、暦の文化の一側面をご紹介します。
展覧会名:読み解こう!北斎も描いた江戸のカレンダー
期間:12月18日(水)~令和7年3月2日(日)
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