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文化の泉 宝物(たからむん)No.57

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沖縄県南風原町

■「ぬーがなま、1年生るやる」意外と遅かった琉球絣の文化財指定
南風原町といえば「琉球絣」と「南風原花織」。織物が盛んな沖縄県内でも最も大きな生産地です。しかし、意外にも琉球絣と南風原花織の文化財指定は今からちょうど20年前の2004(平成16)年。県内の他の生産地が本土復帰前後に指定されたのに比べて、約30年も指定が遅れたのです。
その理由はいくつか考えられます。まず、当時南風原は織物従事者数が多く、生産量、販売量も多かったことがあげられます。産業として成り立っていたことから、文化財というお墨付きをそれほど必要としていなかったのでしょう。
また、織物のような無形文化財の指定には、誰がその技術を持っているのかを整理する必要があります。しかし、従事者数が多く各工程を分業で行う南風原では、従事者たちの間で誰かが突出しているという意識がなく、その整理が難しかったようです。謙虚で少し恥ずかしがり屋が多い南風原の人の性格ゆえかもしれません。
文化財指定の際の調査では、大ベテランのおばあさんに「すでに50〜60年携わっている熟練者ですね」と聞くと、「ぬーがなま、1年生るやる」と返ってきたそうです。いつまでも初心を忘れず、名声にもこだわらずに、ただ目の前の織物に注力する姿勢が、美しい模様を生み出してきたのでしょう。
町無形文化財指定の際には、「琉球絣と南風原花織保存会」が発足しました。保存会では戦後失われていた技術の復興や普及版冊子の刊行などを行い、南風原の宝を後世に伝える取り組みをしています。
なんとも「南風原らしい」理由で遅れた文化財指定。文化財指定前も後も、変わらず真摯に織物に向き合う人達がいます。琉球絣には、そんな人間模様も浮かび上がります。(前城)

問合せ:南風原文化センター
【電話】889-7399

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