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文化の泉宝物(たからむん)No.50

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沖縄県南風原町

■手技の記憶を遺す 沖縄の花織〜當銘正幸コレクションから〜
今さら言うまでもありませんが、人間の手技は古(いにしえ)から目を見張るものがあります。適する材料を使い道具を工夫して作り、必要なものを生み出してきました。それは時代を経るにつれ、必要な道具はまとめて作られ市販されるようになると、各自が作る必要もなく手に入るようになりました。材料も草木や石、土など自然にある物ばかりでなくさまざまな道具が生み出され便利になりました。しかし、手作りの良さや形の工夫、生み出す技術には底知れぬ魅力があり、最近では草編み、手織り等の手作りの技術を身につけようとワークショップも根強い人気があります。
南風原にはご存知のように、多くの柄が魅力の琉球絣、多様な種類の南風原花織があり、伝統工芸品として今なお生産され続けその魅力は褪せることがありません。
「南風原花織」ですが、どのようなものなのか、一般には説明しがたいかもしれません。実はその中にも、技法がちがうため個別の名称で区別されています。
この度、50年以上前から沖縄で作られた織物を各地で収集してこられた當銘正幸さん(豊見城在)の貴重なコレクションの中から「花織」をお借りし、展示会を開催いたします。同時に「南風原花織」の各種も紹介し、この機会に南風原に伝わる手技の魅力を堪能していただきたいと思います。
「自分の寿命で世の中を括ってはいけない。」そんな言葉に出会った時、はっとしました。あらゆる場面で、確かに自分に必要なものにしか目を掛けていないことが多々あるように思いました。自分が生まれる前のできごと、死んだ後にも残せる大切なもの、そんな気持ちで物事を考えると、今目の前にある物もそれぞれ歴史を持ち、あらゆる人の知恵や技術が駆使されて存在している物だと思えてきます。こんな大事な物を自分の生きているまでの時間で無くしてはいけない。そんな気がしてきます。
當銘さんの残された「花織」の着物も、おそらく作った方はもういらっしゃらないでしょう。誰がどこで誰に習い、どんな思いで作り上げてきたものか分かりませんが、素晴らしい技術を今に遺した人たちがいることを思うとありがたさもひとしおです。そしてそれらを観察して復元できる力を発揮する人たちがいらっしゃることも誇りです。(平良)

◆第96回南風原文化センター企画展「花織に魅せられて〜當銘正幸コレクション〜」
2024年3月21日(木)〜4月2日(火)
南風原文化センター企画ホール

問合せ:南風原文化センター
【電話】889-7399

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