文字サイズ
自治体の皆さまへ

文化の泉宝物(たからむん)No.52

9/23

沖縄県南風原町

■各字戦災調査
今年で沖縄戦の終戦から七九年が経過します。戦争体験者からお話を聞くことが難しくなる中、「戦争遺跡」をとおして戦争と平和について学ぶ機会は増えていくことと思います。
その戦争遺跡として、南風原町が全国で初めて文化財に指定したのが「沖縄陸軍病院南風原壕」です。この全国初の取り組みのかげには、一九八三年から全ての字でおこなわれた「戦災調査」がありました。
南風原町の戦災調査は一九八三年から一九九六年にかけておこなわれました。調査は戦前に存在した家1軒1軒を訪問しておこなわれました。引越しした家があれば引越し先へ、一家全滅の家のことは隣近所や親戚を探すなどして調査はすすめられました。
この調査により、集落の人や日本軍が掘った壕の場所、兵士が住んでいた家、疎開をおこなった家、一家全滅した家など、各字・各家庭がどのような沖縄戦を経験したのか記録されました。この積み重ねで「南風原の沖縄戦」が明らかになり、陸軍病院壕と地域の関わりもわかっていきました。
そして戦災調査の中で、重要な調査員の役目を果たしたのが、字出身の高校生や青年、主婦など地域の方々でした。戦争体験者にとって、戦争体験を語ることは、時にとても苦しいことだと思いますが、地域や近所のニーニー・ネーネー達であれば、心を開いてお話をすることができたそうです。また、地域でどのような戦争があったのかということを若い世代が聞くことで、沖縄戦の記憶の継承にもつながりました。調査員は、のべ一三〇名を数えました。
戦災調査をもとに作られた報告書は高い評価を受け、沖縄タイムス出版文化賞特別賞を受賞しています。
地域に根ざした戦災調査は、沖縄戦を記録すること、継承することの大切さが広がった重要な取り組みでした。この地道な取り組みがあったからこそ、全国初の戦争遺跡の文化財指定という南風原町独自の取り組みがすすめられました。
戦災調査報告書は「南風原町電子図書館」で自由に読むことができます。お住まいの地域の戦争について知り、戦争と平和について考える機会にしてみませんか。(保久盛)

◎電子図書館閲覧はこちら
※詳細は広報紙11ページのQRコードをご覧ください。

問合せ:南風原文化センター
【電話】889-7399

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU