■陸軍病院壕の新たな活用
黄金森にある沖縄陸軍病院南風原壕(以下:病院壕)は、第二次世界大戦の戦争遺跡として、南風原町が1990年に日本で初めて文化財に指定しました。(※壕の公開に至るまでの取り組みは、広報6・7月号の文化の泉をご参照ください)
病院壕は、2007年に20号壕を一般公開して以来、ガイドの案内のもと壕内部を見学する方法を行っています。また、そのほかにも病院壕をより深く追体験してもらうために、3つの見学方法があります。
(1)飯上げ体験:飯上げとはご飯を各壕へ運ぶ作業のことです。飯上げ体験は、南風原平和ガイドの会の協力のもと、2013年から希望する団体で実施してきました。現在は、南風原文化センターの受付横に重さを再現したタルと天秤棒がありますので、重さを体感して戦時中の飯上げの状況をイメージしながら、20号壕の見学へ向かうことができます。
(2)壕内部のニオイの再現:病院壕には、壕内に充満していた「ニオイ」に関する証言が多く残されています。そのニオイを再現し、嗅いでいただくことで、実際の壕内の状況を深くイメージできると考え、実施しています。ニオイは、ひめゆり学徒の方々や地元の方の協力を得て完成しました。壕内部の見学時に希望があれば体験することができます。
(3)屋外戦跡案内:黄金森に点在する戦跡の案内になります。黄金森には、「爆発で出来た穴」、「交通壕(日本軍の通路跡)」、「兵士を仮埋葬した地点」など壕内部以外にも見学可能な地点があり、それらを案内する内容になります。屋外戦跡案内は、20号壕の見学と比べて30分長く(約60分)、移動距離もあります。一方で、ガイドにゆっくりと病院壕に関する質問などを行うことが出来ます。
2007年の一般公開以来、少しづつではありますが、病院壕に関してより深く追体験してもらい、平和について考えてもらえるよう取り組みを進めています。
そして南風原文化センターには、壕内の再現展示や病院壕のことをまとめた20分のDVD鑑賞もあります。合わせて見学していただくことで、より深い学びが出来ると考えています。
(保久盛)
問合せ:南風原文化センター
【電話】889-7399
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