首里城再建を進めるうえで、忘れてはならない人物が鎌倉芳太郎氏です。氏は、戦前の貴重な琉球文化を記録・収集し膨大な資料を残しました。現在、沖縄県立芸術大学に7500点以上収蔵されており、うち2200点が国の重要文化財となっています。
鎌倉氏が残した資料は現在も活用され続けており、沖縄の文化・歴史を紐解く立役者としての功績は強調してもしすぎることはありません。
■正殿3階・屋根
3階は、建物の通風を目的にした屋根裏空間のため簡素な造りです。現在は、瓦葺(かわらぶき)工事に入っていて、漆喰塗りが行われています。ガラス越しに近くで見学できるのは、素屋根がある現在だけ!
■正殿基壇
世界遺産に登録されている石積み
※詳しくは本紙をご確認ください。
■復元工事のいま(有料区域内)
素屋根では、昨年の12月に建方(たてかた)工事を終え、今年1月からは屋根の復元に入っています。垂木(たるき)などの屋根材が施され、赤瓦が葺かれ、柱や壁の漆塗装と並行して、柱に色を塗る塗装工事や龍などの絵を描く彩色工事も行われます。
唐破風妻飾(からはふつまかざ)りを支えるのが、正面に立つ向拝柱(こうはいばしら)。うち、御差床(うさすか)左右の2本は職人さんによって直接柱に金龍や瑞雲などの吉祥文様(きっしょうもんよう)が描かれます。来年には外部彩色、内部彩色、素屋根や木材倉庫の解体が予定されています。
■被災した美術工芸品・文化財たち
琉球王国の政治・文化・外交の舞台となった首里城で、美術工芸品は王朝文化を彩ってきました。火災では美術工芸品約1500点のうち約400点が焼失し、被災した琉球漆器約290点について、沖縄と東京で修理が進んでいます。作業には20年にも及ぶ長い年月がかかり、技術の継承や担い手の育成という課題があります。修理の現状を知り、伝統文化の継承につなげることを目的に、次世代へ伝える取り組みが行われました。
復元される扁額の地板は黄色になりました。世界遺産に登録されている石積みこの色になるまでに、塗りや研ぎを繰り返し約30の工程を経ます。
(漆職人 諸見由則さん)
首都圏と県内の高校生が参加した「沖縄未来コンサバターズ」プログラム。復元の現場を見学し、歴史を守ることの大切さや大変さ、工事の現状について知識と興味を深めました。画像は昨年の様子です。コンサバターとは文化財を守り後世に伝えていく仕事に携わる人を指します。
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