■LIGHTRAIL TRANSIT[LTR]20年後、どんな暮らしをしたいですか?どんな未来を想像しますか?
車社会の沖縄ですが、自動車をずっと運転し続けられるわけではありません。では車を手放したときにどんな生活になるのか、あなたは想像したことはありますか?
現在、タクシーやバスなどの公共交通は運転手不足により、最終便の繰り上げなどの減便が行われています。公共交通が衰退すると、車の運転が難しい人たちは外に出る機会が減っていきます。外出機会が減少すると、健康への悪影響や生活の質の低下につながる要因になります。消費活動も減少し、地域経済の面でも好ましくありません。
○公共交通の重要性
公共交通がメインの移動手段となる高齢者は今後増える一方です。現在車を運転していても、身体や認知機能の衰えなどから免許返納をする人も増えていくでしょう。公共交通は昔も今も未来も、子供や学生、高齢者などの暮らしを支える、大切な移動手段です。
公共交通は、移動手段であると同時に、まちづくりや健康、福祉、観光等の様々な分野に関わる、地域の活性化を支える不可欠な基盤です。また、「乗らなければ無くなる」という側面もあります。残していくためには利用することが大切で、公共交通を利用する生活スタイルへの転換も必要です。
○未来に向けて
ライトレールトランジット(次世代型路面電車)は、走行時の騒音や振動が少なく、乗り心地が良い、二酸化酸素を排出しない交通システムです。建設コストを抑え早期開業できること、輸送効率の高さから、各地で導入に向け取り組みが進んでいます。
本市でも導入に向け、みなさまのご意見を踏まえながら令和8年度までに計画を策定したいと考えています。策定後、手続きを経て着工し、開業まで最短でも15年を要するでしょう。そのとき、どんな未来を想像しますか?
◆電車や鉄道のある暮らし
1914年(大正3年)、5月3日に那覇と首里をつなぐ路面電車が開業しました。写真はその車内の様子です。同じ年の12月1日には、軽便鉄道が開業。48キロにわたって敷設された軽便鉄道は、戦争で破壊されるまで沖縄の人々の生活を支えていました。商業の中心であった東町市場に隣接していた那覇駅を起点駅として、与那原線、糸満線、嘉手納線がありました。古波蔵駅が嘉手納方面、国場駅が糸満方面への乗り換え駅となっており賑わっていました。
与那原駅舎は、戦火の中その形をわずかに残し、建物は補修を重ねて、消防署や町役場として街に溶け込んでいました。写真資料や聞き取り調査をもとに当時の姿を復元した軽便与那原駅は、展示資料館として当時の生活を生き生きと伝えています。
○軽便与那原駅舎 展示資料館
与那原線の終点でした
AR体験も!
住所:島尻郡与那原町字与那原3148-1
【電話】835-8888
入館料:100円
◆開業までの道のり
数値は先進地事例やパーソントリップ調査結果等に基づき試算したものです。
LRT整備計画策定にあたり、令和8年度に最新値で算定予定です。
B/C(費用便益分析)は1.0以上が事業化の目安です。
東西ルート本線:県庁北口~県立南部医療センター付近
東西ルート支線:県庁北口~若狭海浜公園付近
南北ルート:真玉橋付近~新都心
東西ルート本線および支線を先行して整備する予定です。
※詳しくは本紙をご確認ください。
○LRT導入の必要性
市では、第5次那覇市総合計画において「誰もが移動しやすいまちをつくる」ことを掲げ、過度にクルマに頼りすぎず公共交通や徒歩・自転車などで、まちのどこへでも快適に移動できるまちを目指しています。まちなかに入る自動車量を減らしながら公共交通をさらに便利にすることで、「人を中心としたまち」「誰もが移動しやすいまち」をつくるために次世代型路面電車LRTをまちづくりを支える重要な公共交通と位置付け、導入に向けた検討を進めています。LRTは、中心市街地・真和志・新都心の3つの拠点を結び、バスやタクシー、モノレールと連携することで、人々の移動をスムーズにし、環境や人にやさしく、住みよいまちづくりへの効果が期待できます。
○LRT導入の効果
LRTが走る沿線付近では、人通りが増えることで駐車場や空き地だったところに商店や飲食店ができるなど、地域特性を活かしたまちづくりが可能になります。また、環境、福祉、観光といった様々な場面でのまちづくりへの効果が期待されます。LRTは人に優しく、高齢者や子ども達といった車を持たない人々の外出機会を増やし、公共交通を利用する場面が増えることで、健康増進にもつながります。
LRTを利用し多くの人にまちへ繰り出してもらうことで、まちに賑わいが生まれ、経済の活性化に繋がるなど、那覇市のまちづくりへ寄与することが見込まれます。
○クルマ社会について
クルマに依存した都市の構造は、交通渋滞を助長し都市の活力を低下させています。本市においても、中心部の人口減少や少子高齢化の進行など、今後の都市の活力の維持が懸念される状況にあります。国立人口問題研究所によると2020年時点で317,625人だった市の総人口は、2050年時点で280,108人になり、2020年時点で11.5%だった人口における75歳以上の割合は、2050年には21%になると推計されています。社会の超高齢化が進む中で、自家用車がなくても生活できる環境の整備が急務となっています。
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