■本気で遊ぶから、ウインタースポーツは楽しいのだ
国民スポーツ大会 冬季大会で滋賀県代表選手を目指す 堤(つつみ)篤史(あつし)さん、尚史(ひさし)さん兄弟
11月末ごろから、ウインタースポーツの季節がやってきます。
国民スポーツ大会冬季大会で、スキー競技の滋賀県代表選手を目指している、社会人2年目の堤篤史さん(23歳・滋賀銀行)と尚史さん(20歳・京都産業大学)=三宅町=兄弟を取材しました。
▽コロナ禍で逃した幻の国体 今度こそそろって出場したい
兄の篤史さんはこれまで何度も国体の代表選手になっており、弟の尚史さんは昨シーズンのワールドカップにも出場した実力者ですが、実は、兄弟そろって国体に出場したことがありません。
一度だけ実現しかけた時は、コロナ禍で国体そのものが中止になってしまいました。来年、滋賀県で国スポが開催されることもあり、冬季大会の場所は違えど今度こそ兄弟での出場を果たしたいと意気込んでいます。
春~秋は筋トレやランニングなど体づくりやイメージトレーニングをして、11月末ごろからゲレンデで練習。来年1月に予選に臨む予定です。
▽スキー大好きな父の影響 種目は違っても情熱は同じ
篤史さんはジャイアントスラローム(アルペン)、尚史さんはテレマークスキーという競技に情熱を注いでいます。日本でよく知られているのは「ジャンプ」「モーグル」ですが、二人が頑張っている種目は海外で人気なのだそうです。
堤兄弟のスキーには、父・直史(ただし)さんの存在が欠かせません。スキーが大好きで、幼い頃から家族でレジャースキーを楽しんでいました。直史さんはその頃から、「親子で楽しく遊べる、生涯スポーツができれば」と話しているそうです。
今でも直史さんは、兄弟の練習や試合に必ず同行するそうです。尚史さんのワールドカップでは選手団に同行し、イタリアのゲレンデを楽しんでいたとか。「自分たちより熱心だね」と、篤史さんと尚史さんは顔を見合わせて笑っていました。
▽冬は家族でスキーの季節 競技の他にもたくさんの魅力
冬シーズンになると、毎週のように父と兄弟男3人で活動するようになりました。競技も面白いけれど、スキーはレジャーとしても、とても魅力があります。スキー場は標高の高い山が多く、銀世界と峰での日の出の瞬間の美しさは格別。滑った後の温泉とおいしい食事もウインタースポーツの醍醐味(だいごみ)です。スキー場のレストランでご当地料理をいただくのも魅力の一つだそうです。
スキーの魅力はたくさんありますが、もう辞めようと思ったことだって何度もありました。尚史さんは大学1年生の時に大会で大けがをしました。治療とリハビリに1年を要し、けがを克服するにも時間がかかったといいます。
社会人になった篤史さんは、所属企業の理解を得て競技を続けていますが、学生から社会人となって、現役選手を続けることの難しさも感じているといいます。
だけど「楽しい」から続けている。兄弟とも3歳で初めてスキーを経験して、ずっと頑張ってきたので、生きがいに近いと話していました。夏場でも「あ、今、滑りたい」という衝動に駆られることもあるといいます。
▽スポーツで増える楽しみ 興味があるなら始めよう
世界のトップアスリートを目標にしているわけではないけれど、スキーも上手になりたいし、成績も残したい。けんかをしている時間ももったいないから、兄弟仲も良いのだそう。
地球温暖化で積雪が減っていることなどもあり、スキーの競技人口も愛好者も減ってきているそうです。ウインタースポーツの魅力をたくさんの人に知ってもらおうと、仕事や競技の練習をする傍ら、スポーツ少年団のスキー教室などでインストラクターをすることもあるそうです。篤史さんは「スポーツを始めると楽しみが増えると思う。本音はウインタースポーツ、もっというとスキーやスノーボードに興味を持つ人が増えたらうれしいです。まずは雪にふれて楽しんでほしいな」と話していました。
滋賀県代表の次は、兄弟そろって日本代表で海外の大会に出場したいと夢を語っていました。「本気で遊んでいるから楽しいのだと思います」と、篤史さんと尚史さんは口をそろえていました。
・テレマークスキー…かかとがスキー板の上におさまらないスタイルで、スピードよりテクニックが要求され、現代スキーの原型といわれています。
尚史さんによれば、自由度が高い代わりに、滑走中ずっとスクワットしているようにきついそうです。
・ジャイアントスラローム…山の斜面に旗を立て、その間を滑りながら速さを競います。平均スピードは時速50~70kmにもなり、早く確実に旗門を通過して滑走するのがポイントです。国スポでは、兄弟二人でこの種目の滋賀県代表選手を目指しています。
※国民体育大会(国体)は、2024年から国民スポーツ大会(国スポ)に名称が変更されました。
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