■美術館から子どもたちへ
佐川美術館
学芸員:藤井康憲(ふじいやすのり)
夏も終わりに近づきつつありますが、各地の美術館では夏休みにあわせて、子どもの皆さんが楽しめるワークショップや昆虫、鉄道、恐竜などなじみ深いテーマの展覧会が行われています。
美術館でこのような取り組みがなされるのも、子どもの豊かな感性を育てる「情操教育」を見据えてのことです。
佐川美術館では、夏休み前に守山市の小学4年生を対象に、平山郁夫(ひらやまいくお)の日本画作品、佐藤忠良(さとうちゅうりょう)のブロンズ像を「見て」「触れて」鑑賞する芸術鑑賞教室を実施しました。鑑賞後に作品を見ながら美しいと感じた色彩をもとに、平山作品をモデルにした砂絵の制作にもチャレンジしています。
このイベントで私たちが最も大切にしているのは「本物に触れること」です。作品の色鮮やかさや質感は、本物を実際に目にすることでしか味わえません。教科書やカタログに掲載された作品写真では味わえない感動が美術館にはあります。この感動こそが情操教育には欠かせません。
小学校での美術作品鑑賞に対する関心は、当時の研究者により『小学校に於(お)ける絵画鑑賞教授の原理と実際』という著作が発表された、大正後期ごろ(1918~1925)に始まりました。その後昭和16年(1941)には教材も発行され、広く授業で導入されるようになったといいます。
時代と共に形を変えながらも、美術館が子どもの教育に欠かせない一つの場として役割を果たせるように、佐川美術館ではさまざまなイベントを企画していきたいと思います。
※開館情報は、佐川美術館ホームページでご確認いただくか、電話〔【電話】585-7800〕でお問い合わせください。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>