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写真でたどる ふるさと再発見 No.60

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滋賀県甲良町

【横関の観音様とつくりもの】
いつの時代も安産で子どもを授かるよう願う気持ちは変わりません。横関にはそんな願いを聞いてくださる霊験あらたかな観音様がおられ、古くから近在の人々にも信仰されてきました。
横関観音堂に納められている観音菩薩様は、木像漆箔(うるし)で像高40cm、蓮華台(れんげだい)に右手に錫杖(しゃくじょう)・左手に蓮華を持ち、女性的なお姿をされています。元は京都にある天台宗円通寺の本尊で火伏観音と言われ、火の災難から免れた数々の物語があり、また安産の仏様として伝えられています。今も子どもが誕生すると観音堂の鰐口(わにぐち)に我が子の名前が書かれたお礼の晒(さらし)が吊るされています。
地元に伝わる昔話では、「戦国時代の頃、旅の僧が一夜の宿を求めてこられ、横関新之丞は心よく泊めました。新之丞の妻が妊娠中に火事に遭い、恐ろしさのために病に伏せっていることを知った僧は、聖徳太子が作ったという子安観音菩薩を与え、それを拝めば災難は無くなり、病は癒(い)えると教えました。すると、妻は無事出産し、その後火事も起きず幸せになった。」ということです。
この中に出てくる横関新之丞は、横関氏にまつわる人と言われています。
石田三成が佐和山城主となった頃、横関の城主※横関三河守正資(みかわのかみまさすけ)は三成の与力として1万石を給せられる有力な武将でした。正資は関ケ原合戦の前年に病で亡くなりますが、正資の死後も横関氏は石田方であったため、徳川方の厳しい追跡を受けます。正資の妻は、遺児重道を伴ってこの地を去る時、観音様を村人に托して他国に落ちのびました。そこで村の人々は「観音講(十八日講)」をつくり、村の守り本尊として深く信仰し現在にいたっています。観音講が十八日講とも言われるのは十八日が観音様の命日とされているからです。
8月18日は観音盆(現在は18日に近い土曜日)が開催され、勝楽寺の住職をお迎えし厳かな勤行が行われます。中でも、人形の「つくりもん」は古くから伝わる伝統行事で、横関観音盆を特色づけるユニークな催しです。元は徳利やかんぴょうで首(顔)が作られていたものが、時代を経て人形で作られた首に変わりました。作る場面は、昔の物語や童話、その時期の話題のものがテーマとなっています。(現在はつくりものは休止されています)
※横関三河守正資…横関村城主1万石を領す。美濃守護大名土岐正房の7人衆の一人。横関氏は京極氏を頼って近江に入り、甲良に土地を与えられ横関に城を築いた。勝楽寺に位牌と墓がある。
参考資料:横関史 甲良町史

問合先:ふるさとプロジェクト(図書館)
【電話】38-8088【FAX】38-8089

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