■「こども基本法」から考える人権
皆さんは「こども基本法」を知っていますか。「こども基本法」は、日本国憲法や「児童の権利に関する条約」の理念に基づいて、全ての子どもが、将来にわたって幸せな生活を送ることができる社会の実現をめざし、子どもに関する政策を総合的に進めることを目的に、昨年4月に施行されました。
「こども基本法」では、子どもに関する施策のための六つの基本理念が掲げられています。
(1)すべてのこどもは大切にされ、基本的な人権が守られ、差別されないこと。
(2)すべてのこどもは、大事に育てられ、生活が守られ、愛され、保護される権利が守られ、平等に教育を受けられること。
(3)年齢や発達の程度によって、自分に直接関係することに意見を言えたり、社会のさまざまな活動に参加できること。
(4)すべてのこどもは年齢や発達の程度に応じて、意見が尊重され、こどもの今とこれからにとって最もよいことが優先して考えられること。
(5)子育ては家庭を基本としながら、そのサポートが十分に行われ、家庭で育つことが難しいこどもも、家庭と同様の環境が確保されること。
(6)家庭や子育てに夢を持ち、喜びを感じられる社会をつくること。
(こども家庭庁ホームページより)
この中の(3)、(4)にある「こどもの意見の表明と尊重」に関する内容に注目したいと思います。この基本理念に当てはまる取り組みが、県内各地で進められています。
滋賀県では、子どもが議員になって県政に意見表明や提言をする「子ども県議会」を開催しています。県内在住・通学の小・中学生が議員を務め、自分の考えや提言を表明する機会を体験しています。
草津市では、市内の中学生が生徒会活動などの取り組みを発表して意見交換する「子どもサミット」を開催しています。「こども基本法」の理念のもと、子どもたち自身が主体的な学校づくりの力を高めていくことを狙いとしています。
ある中学校では、生徒の意見を聞いて校則などを見直す取り組みを進めています。この取り組みでは、子どもたち自身が意見を示し、教員や関係者と対話を重ねながら進めていくなど、子どもたちが主体的に考え、行動できる力を身に付けることを大切にしています。
このように、子どもたち自身が意見を表明し、尊重されることで、自分が「権利の主体者」であり「社会を作る主体者」であることを実感することができます。
それでは、子どもたちを取り巻く大人は「こどもの意見の尊重」についてどのように考えているのでしょう。令和5年度に実施した『草津市「人権・同和問題」に関する市民意識調査』では、子どもに関する人権を守るために「子どもに関わることは、子どもの意見や考えを十分に聞き、尊重することが必要」だとする回答が最も高くなっています。市民の皆さんが子どもの意見を尊重することが重要だと感じていることは、「こども基本法」の理念の実現に向けて大きな力になると思います。
「子どもは未熟で教えないといけない存在」であるという思いが強すぎると「尊重されるべき一人の人間」であることを忘れてしまいがちです。「こども基本法」を読み返しながら、子どもの今と未来にとって幸せな社会を実現するために、改めて一人一人が自分のできることを考えていきたいものです。
問合せ:人権センター(大路二、キラリエ草津3階)
【電話】563-1177
【FAX】563-7070
<この記事についてアンケートにご協力ください。>