■「発達障がいの人の感覚」
人間には、視覚や聴覚、触覚などいろいろな感覚が備わっています。感覚の感じ方には個人差がありますが、発達障がいの人は感覚が極端に過敏だったり鈍感だったりと、感覚に偏りがある人が多いといわれています。特に自閉スペクトラム症の人では、60~90%の人がこうした感覚面の困難さを感じているそうです。
発達障がいの人が最もつらいと感じている感覚面の困難さは、聴覚に関する困難さといわれています。大きな音や甲高い音、突発的に鳴る音を苦手としている人は多いです。また、周囲の音を取捨選択して聞き取ることができないため、にぎやかな場所にいると疲れてしまう人や、目の前の人の話し声が周囲の雑音にまぎれてしまい、話の内容が聞き取りにくくなる人もいます。
視覚に関する困難さを訴える人も多いです。蛍光灯の光がチカチカと感じられ勉強や仕事に集中することが難しい人や、白いノートだとまぶしくて字が書きづらいという人もいます。LEDライトや太陽光が目に痛いほどまぶしく感じられ、生活の中で大きな苦労を感じている人もいます。
触覚の困難さもあります。服のタグや縫い目の感触がチクチクと痛痒く感じられ、特定の肌触りの服でないと着られない人や、シャワーが刺さるように痛くて浴びられないなどの困難さを訴える人も多いです。その他にも、触覚や嗅覚の過敏さから食べられるものが限られていたり、柔軟剤や香水の匂いが耐えられないほどつらいなど、さまざまな感覚にまつわる困難さがあるといわれています。
感覚は目に見えず、他人と比較することができないため、感覚の困難さがあっても周囲に理解されづらいことが多いです。また、年齢が低いほど「自分の感じ方が人とは違う」ということに気づきにくいです。周囲の人がその困難さを理解し、無理なく少しでも居心地よく過ごせる工夫を、本人と一緒に考えていけるとよいですね。
参考・引用文献:『発達障害のある人の感覚の問題』国立障害者リハビリテーションセンターホームページより、『発達障害者の感覚の問題』国立障害者リハビリテーションセンター研究所 発達障害ナビポータルより
問合せ:発達支援センター
【電話】587-0033【FAX】587-2004
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