家族の中には、血のつながりだけでなく、心の絆で結ばれた家族もいます。里親家庭もその一つ。
里親家庭は特別な家庭ではなく、子どもたちはどこにでもある家庭でたくさんの愛情を受け、普通の生活を送っています。
■10月は「里親月間」です~
こども家庭庁では、毎年10月を「里親月間」と位置づけ、里親制度に対する理解を進めるための集中的な広報啓発を実施しています。詳しくはこども家庭庁ホームページをご覧ください。
■里親制度とは
家庭での養育が困難な子どもに温かい家庭環境を提供する「里親制度」について、内容や登録の流れなどを詳しく見てみましょう。
虐待や保護者の病気などさまざまな事情で親元を離れて生活する子どもを家族の一員として迎え入れ、温かい愛情と正しい理解を持って養育する里親制度。児童福祉法に基づき、行政(県)が里親に養育を委託するもので、子どものための制度です。
子どもの健やかな成長と安定した心の発達には、家庭での生活を通じて、特定の大人から温かい愛情を受けながら過ごすことが重要だといわれています。実親の代わりに、深い愛情と安定した生活環境を提供する役割を担うのが里親です。
里親が子どもを養育するのに必要な経費は公費で支給されます。生活費や教育費、医療費、里親手当などです。里親になるために特別な資格や経験は必要ありません。一定の条件を満たし、温かい愛情があれば誰でもなることができます。
◇里親制度の種類
※このほかに、お正月やお盆、夏休みなどに1週間前後施設から家庭に帰省できない子どもを迎える季節里親や、週末に子どもを家庭に迎える週末里親など、短期的に委託を受ける短期里親もあります。
◇里親になる条件
1.心身共に健全であること
2.子どもの養育について理解や熱意、愛情を持っていること
3.経済的に困窮していないこと
4.本人またはその同居人が過去に虐待などをしていないこと
◇里親になるまでの流れ
1.相談…里親支援センターなどで制度の説明を聞き、家族の同意を得て申し込む
2.研修・調査…里親制度について研修を受けた後、関係機関が家庭訪問を実施
3.登録・マッチング…都道府県の審査を経て里親登録後、受け入れる子どもとマッチング
4.里親+開始…子どもを実際に家庭に迎え入れ、養育スタート
5.更新…養育里親は5年、専門里親は2年ごとに更新研修を受講する
■里親が求められる理由
親から適切な養育が受けられない子どもは県内にも大勢います。それに対して里親の数は少なく、本市でも課題になっています。
・熊本県内の社会的養護が必要な子ども……642人
・そのうち里子(ファミリーホーム含む)……100人
(令和4年3月31日時点)
※詳しくは本紙をご確認ください。
・熊本県内の社会的養護が必要な子どもが暮らす場所
(令和4年3月31日時点)
◇施設で暮らす子どもが8割以上
保護者からの適切な養育が受けられず家族と離れて暮らす子どもは、全国に4万2千人、熊本県には約650人います。こうした子どもたちを社会全体で支える仕組みを「社会的養護」といいます。
社会的養護には里親家庭などで暮らす「家庭養護」と施設で暮らす「施設養護」がありますが、県内で社会的養護が必要な子どものうち8割以上が施設で暮らしている状況。家庭的な環境で暮らす子どもは一握りです。その背景には、熊本県の(※)里親委託率の低さ、つまり里親が少ないことが挙げられます。
※里親委託率とは、社会的養護が必要な子どものうち、里親やファミリーホームといった家庭的な環境(家庭養護)で生活している子どもの割合
・里親委託率
(令和4年3月31日時点)
◇親と離れる理由の多くが虐待
社会的養護が必要な子どもの内訳としては、虐待(父母の放任、育児拒否含む)が約5割と多くを占め、父母の離婚や破産などそのほかの理由が約5割です。虐待を受けた子どもは精神的な傷を負っていることが多く、里親家庭など愛情のある環境で暮らすことが求められます。
・社会的養護が必要な理由
※平成27年度中に新規に里親委託や施設入所となった子どもたちの措置理由(厚生労働省調べ)
<この記事についてアンケートにご協力ください。>