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自治体の皆さまへ

「農業」がつくる幸せ(2)

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熊本県宇土市

■若い力で盛り上げる宇土の「農」
若手農家というと何歳くらいを思い浮かべますか?
42歳で果樹栽培を始めて1年目の久木田さんと30歳でピーマン栽培を始めて2年目の大門さん。
それぞれ年代も前職も農業を始めたきっかけも違います。農業を始めるのに早いも遅いもありません。
地域の人たちに支えられながら挑戦を続ける2人に話を伺いました。

合言葉は“やってme(み)you(よう)”
新規就農者 久木田 康司さん(築籠町)
※やってmeyou…まず行動を起こしてみようという思いと、あなた(you)と私(me)で一緒に作り上げていきたいという思いが込められている久木田さんの造語

網田の町を抜け、山へ車を走らせると町を見渡せる丘にオレンジや黄色の実を付けた果樹園が広がる。久木田さんはその一角でみかんや不知火、レモンなどの果樹を栽培している。
昨年から網田で農業を始めた久木田さん。「知人に耕作放棄地を紹介してもらい畑を始めました。最初は草木が生い茂りどこが畑か分からない状態でしたが重機などで1週間かけて作物を作れる状態にしました。」久木田さんが畑を始めたころ、近所にある網田保育園がサツマイモを育てる畑を探していたので、園児と一緒にサツマイモを育てることにした。「最初地域の人たちからは珍しい人がいるなと思われていたと思います。でも、収穫のために園児たちが畑に来るようになり、地域の人たちからも少しずつ話しかけてもらえるようになりました。その時は少し認めていただけたのかなと嬉しくなりました。」ここから地域の農家との交流が広がっていった。
あるみかん農家の方から「果樹の耕作放棄地があるから栽培してみないか」と紹介を受けた。周りの人たちからの後押しもあり、数か月悩んだ末、果樹栽培を行うことにした。「先輩農家さんたちの畑に対する想いは想像以上のものがあり、その想いを引き継ぐ以上、やると決めたら裏切らずに一生懸命やりたいと思っています。」そう意気込む久木田さん。地元の人が農地を任せてくれるのも、そんな久木田さんの一生懸命な姿が目に留まったからだろう。「自分は本当に周りの人に恵まれていると思います。農地を貸してくれる地域の人、行き詰まった時にアドバイスしてくれる先輩農家さんに日々支えられています。」と地域への感謝を話す。
今は果樹のオーナー制度や体験農業ができる場を作るなど人々が交流できる農園を作る計画を進めている。「楽しみながら農業で笑いたい。農業は脳業とも言います。頭を使う仕事で、地域の先輩方は圧倒的に技術があります。高齢化や後継者不足などの理由で農業を辞める人も多いですが、先輩たちとたくさん関わっていろんなことを得ていきたいと思います。」
久木田さんのモットーは、「やってみよう」「やったしこ」。楽しみながらも、農業と真摯に向き合う久木田さんの姿は地域の活力となるだろう。

果樹のオーナー制度体験会。1月は約180人が参加。オーナーは随時募集しています。
【電話】090-7392-7311

新規就農者 大門 剛さん(花園町)

「動画配信サイトなどを見て、努力が結果として現れる農業の楽しさに魅了され農業を始めました。」そう話すのは、宮庄町のハウスでピーマンを栽培する大門さんだ。元々自然やDIYが好きで建設関係の仕事を辞め29歳でJAが開催する研修会などに参加し、30歳から本格的に独立して農業を始めた。今年で就農2年目となる大門さんが目指すのは現代農業。「土日休み、8時から17時までの勤務、長期休暇も可能な、きつい休めない農業のイメージを覆す仕組み作りに取り組みました。」温度や水分を自動で管理する機械などを取り入れたスマート農業と平日に行う作業の効率化を図ることで実現させた。
大門さんは、ピーマン栽培を極めるために鹿児島県の農家へ片道3時間かけて通うこともある。「先輩農家には『失敗談を教えてください』とお願いしています。その改善策を自分に取り入れることができるので、個人的には成功談より失敗談が勉強になると思っています。」ハウス内や収穫作業の所々に教えを取り入れた工夫が凝らしてある。さらに地域の農家の方との交流も大事にしており、「農家さんたちが一息付ける場を作りたい。」と多くのハウスが立ち並ぶ一角に一台の自動販売機を設置した。
大門さんのハウスは工具など作業に使う道具の位置が表示され、きれいに整理整頓されている。「ピーマンは糖度や見た目に付加価値を付けるのは難しいので、購入した人に安心して食べてもらえるように、ハウス内の環境には特に気を付けています。」魅せる農業として、SNSやスーパーのポップで整理整頓されたハウス内の様子を発信している。さらに、子どもの食育にも興味があり、「ピーマンは子どもが嫌いな野菜ベスト3に入ると思うんです。機会があれば、子どもたちと一緒にピーマンを育てることで、ピーマンに興味を持ってもらいたいし、美味しさを伝えたいと思っています。」と話す。
目標は熊本で一番有名なピーマン農家になること。これからも失敗を恐れず、宇土の次世代農家として効率的で安全安心な現代農業へとチャレンジし続けてくれるだろう。

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