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シリーズ私たちと人権95

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熊本県宇土市

■ホームレスの人々の人権
◇ホームレスの人々とは
「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」によると、「ホームレス」とは、都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を起居の場所として日常生活を余儀なくされている状況にある、いわゆる野宿生活をしている人々のこととされています。

◇ホームレスの人々の数と生活とは
厚生労働省が2021年(令和3年)に実施した「ホームレスの実態に関する全国調査」(以下、「実態調査」という。)によると、確認されたホームレスの数は全国で3,824人であり、熊本県内で確認されたのは15人でした。性別は男性が9割を占め、年齢は60歳以上が59.4%となっており、高齢化しています。生活の場は、都市公園が最も多く、次いで河川となっています。
調査対象者の約5割の人は、廃品回収や日雇いの仕事などをしていますが、収入は非常に不安定です。また、10年以上野宿生活を続けている人の割合は、57.8%に上っています。

◇なぜホームレスになったのか
ホームレスの人々に対して、どんなイメージをもっていますか。「恐い」とか、「自分とは別世界の人の話」などのイメージを持っていませんか。
「実態調査」では、ホームレス状態になった理由は様々であることがうかがえました。「仕事が減った」、「(勤め先の)倒産や失業」、「人間関係がうまくいかなくて、仕事を辞めた」、「病気・けがや高齢で仕事ができなくなった」という回答をした人が多くありました。また、「家族関係の悪化や離別・死別」、「退院、退所後の行き先無し」といった理由もあります。こういったことは、誰にでも起こり得ることです。それゆえ、誰もがホームレスになる可能性があるといえます。

◇ホームレスの人々に関する人権課題とは
「宇土市人権に関する市民意識調査」で、ホームレスの人々に関して起きていると思う人権問題について尋ねました。その結果からは、「経済的に自立が困難なこと」、「じろじろ見られたり、避けられたりすること」、「近隣住民や通行人などから嫌がらせを受けること」など、様々な課題が認識されていることがうかがえました。近年発生している、ホームレスの人々に対する嫌がらせや暴行事件のことをマスコミ報道で目にした人も少なくないと思います。こういった問題は、ホームレスの人々の背景や事情が見えにくいがゆえに生じる偏見や差別が要因となっているのではないでしょうか。

◇私たちに何ができるか、考えよう
経済的な困窮は、やがて社会的な孤立を引き起こすと言われています。家族、親族、友だちといった人間関係が途切れてしまうということは、気持ちに寄り添い、励ましてくれる存在がいなくなるということです。そのような状況下では、頑張る意欲は次第に減退していきます。人との関係や支えてくれる人の存在は、人が頑張るうえで非常に大切なものです。
今の社会は、経済的困窮状態にある人に対して、「自己責任」という言葉のもと、冷たい眼差しを向けていないでしょうか。
ホームレスの人々の人権問題は、限られた一部の人々の問題ではなく、社会全体の問題です。他人事ではなく自分事として捉え、私たちに何ができるか、考えてみましょう。

ホームレスに関して起きていると思う人権問題
掲載グラフは2022年8~9月宇土市人権に関する市民意識調査より抜粋。
n=877:調査回答数877票をもとに割合を算出しています。
参考資料:「ホームレスの実態に関する全国調査」(厚生労働省 2021年(令和3年)11月)、「ホームレスの最新動向と支援策のあり方」(垣田裕介公益財団法人人権教育啓発推進センター研修講義資料)

問合せ:生涯活動推進課 生涯学習係
【電話】22-6510

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