■本の面白さを子どもたちに
◇読み聞かせでっした伝わらないこと
12月7日午前8時、早朝の豊野小図書館で打ち合わせをするのは、おはなしボランティア「やまざくら」の7人。各学年の児童に読み聞かせを行うために、それぞれ本を選び持ち寄った。各教室からは、個性豊かな抑揚のある声が響く。
「やまざくら」は市が合併する以前、先代の代表である宮崎詣子(けいこ)さんが豊野町に本が好きな子どもが増えてほしいと、メンバー3人で始めた団体。
豊野小で年に6回、毎月第2、第4土曜には市立図書館豊野分館で絵本や紙芝居、大型絵本の読み聞かせを行っている。
「今はインターネットで見れる電子書籍や動画などの娯楽がありますが、読み聞かせは、即座に子どもたちの表情が分かりますし、肉声は心に伝わりやすいと思います。そこでしか伝わらない臨場感などを大事にしていますね。」と代表の舛井雅子(まさこ)さんは話す。
メンバーの読み聞かせの巧みさは、目をキラキラと輝かせながら聞く児童の姿が物語る。4年生の桑原颯斗(はやと)さんは「1年生から毎年聞いていますが、話し方が上手なので聞きやすく、話がよく入ってきます。」と毎回楽しみにする。
読み聞かせが終わると、メンバー同士で「この話はウケが良かった」「子どもたちが真剣に聞いてくれた」と振り返る。それぞれに共通するのは全員が心から本が大好きということ。好きな本も違うため、読み手ごとにカラーが出るので子どもたちを飽きさせない。
◇メンバーの思い
阪田康子(やすこ)さんは「本を読んだり人の話を聞くことで、これから広がる世界でも心が通じ合う人に出会えたり、そこで気付く自分自身を、もっと好きになる小さなきっかけになればいいなと思います。」
と子どもたちの未来を想像する。
「最近は休日の図書館に来る子どもたちが少なく、読み聞かせに誰も来ないときもあるので少し寂しい。」と木村弓(ゆみ)さん。メンバー共通の願いは読み聞かせの活動がきっかけで本が好きになる子が増え、図書館に来る子どもが増えることだ。
「本が好きだからこそ、その本の魅力を子どもたちにも伝えたい」。その思いを胸に、読み聞かせをするメンバーの表情は、聞いている子どもたちと同じくらい輝いている。
◇やまざくら Yamazakura
豊野町で読み聞かせの活動をするボランティア団体。主に豊野小と市立図書館豊野分館で絵本や紙芝居、大型絵本の読み聞かせを行う。
[やまざくらの読み聞かせ]
場所:市立図書館豊野分館
日時:毎月第2、第4土曜日10時30分~11時
◇やまざくらのメンバーが選ぶおすすめ絵本
[木村さん]
「とっときのとっかえっこ」
隣同士のおじいちゃんと女の子の話。年齢や性別などを超えた心の通い合いが描かれ、優しい気持ちになれる1冊です。
[舛井さん]
「ぼんさらや」
熊本の民話ですが、内容はシンデレラの日本版みたいな話。和歌の返しが面白く、思わず吹き出してしまいます。
※詳細は本紙またはPDF版を参照してください。
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