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自治体の皆さまへ

わたしたちの人権235

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熊本県山都町

誰もが人間として生きていくうえで侵すことのできない当然の権利これが『人権』です

■部落解放に生きる
去る7月25日「令和6年度山都町学校・就学前同和教育研究大会」において、吉本千世さんをお招きしてお話を聞きました。その講演内容の一部を掲載します。

マイクロアグレッションという言葉を聞いたことがある方、いらっしゃいますか。
マイクロアグレッションとは、日常的に行われる言葉や行動によって敵意や敵対心が全くない中、知らず知らずのうちにマイナスイメージを相手に与えてしまうこと。攻撃性があり、意図的に行われる行為や言動は差別だとわかりやすいんですが、それが見えづらいのがマイクロアグレッションです。悪意なく無意識のうちに相手の心にチクチクと小さな傷を切り刻んでいくので、非常に厄介で大変です。受けた側は、それらを払拭するのも大変です。
もうひとつ、アンコンシャスバイアス。これは思い込み、無意識のうちの刷り込みということです。みなさんの中にはありませんか?
差別は見ようとしないと見えません。気づかないまま、差別をする側に立ってしまいます。
「差別って、何?」って聞かれた時に、どう答えますか?
例えば、見下す、仲間外れにする、その存在を否定する、経験を否定する、予断と偏見、こういったことを容認する社会のしくみ、そのものを差別社会と捉えた方がいいと思います。だから、私たちは差別社会にいる、生きていると自覚する。では、何をするか。
差別をなくすためには、自分自身で学び続けてほしいです。私自身、いろんな研修会に行くんです。それはなぜかというと、まだまだ自分の中に払拭できない差別意識があるし、思い込みや決めつけがいっぱいあるからです。なかなか自分自身って変わりたくても、変われないんですね。だから、差別問題や人権問題について学び続けるし、自分の差別意識に気づこうとする意識は大事にしているところです。
実は、さらし差別っていうのがあっていて、YouTube上に被差別部落を同意なく無断で撮った動画が出されました。その行為に対し、一昨年秋に、ネット上でこれらの動画を削除して欲しいという3万筆を超える署名が集められ、YouTube上では動画は見られなくなったんです。ですが、実はこれらの動画は新たに別サイトでそのまま掲載されているという状況です。
ネット上のさらし動画や写真等に対しては、今、大阪、新潟と埼玉で削除を求める裁判が起こっています。
また、「全国部落調査」復刻版出版事件については、昨年、2023年6月28日に、「差別されない権利」を認めるという画期的な判決が、東京高裁から出されています。
数年前、高校生が被差別部落の地名が書かれた本を自作してメルカリに出品し販売するという事件が起きました。差別が売り買いされているという状況です。「自分のお小遣い稼ぎの目的で出品し、1冊目売れた。買う人がいるんだと思い、また、出品し、2冊目も売れた。それで、3冊目も売ろうと思ったら、こんな重大なことになってしまい、自分がやっていることが差別だと思わなかった」と、当時、本人は語っています。学校で社会科の授業で習って部落問題があると知り、中途半端な生半可な知識だけで、興味本位でこのようなことをやってしまった。知らない間に差別に加担してしまう。いかに、教育や啓発が重要で大事かということがわかります。
差別のことを考えずに安心して過ごしたい、何も心配せずに過ごしたいというのが、私の願いです。
「差別の反対は、尊敬すること」
全国水平社創立宣言文の中にもあるように、差別をしないだけじゃなく、人を尊敬することによって、人と人とがつながり差別をなくすという行動を続けていきたいです。
差別をなくすために、学校、保育園、それぞれの職場、また、行政は行政の役割、地域は地域の役割などを確認し、情報や発信を共有しながら進んでいけばいいな。これからも、人権文化の種をまいていきたいと思っています。

自分の人権を守り他人の人権を守る責任ある行動を

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