■水俣病と人権 何も知らずに他人を傷つけることがないように、正しく理解を
▽水俣病とは
工場排水中のメチル水銀に汚染された魚介類を、長い間たくさん食べたことが原因となって発生した中毒症のことです。伝染病・遺伝病・風土病などではありません。
主な症状として、両手足の感覚障がいや視覚・聴覚障がい、運動失調などがあります。妊婦の体内に入ったメチル水銀が、胎盤を通して胎児へ取り込まれることで発症する「胎児性(たいじせい)水俣病」も大きな問題となりました。
▽水俣病をめぐる差別や偏見
水俣病の原因が分からないころは空気を通して感染すると思われていて、患者や患者の家族は地域との付き合いを断られるなどありました。水俣市には原因企業や関係先で働く人が多かったため、市民の間での水俣病に対する考え方の違いもありました。原因企業と自分の生活を守ろうとする人と患者との間では非難や中傷が繰り返され、地域社会の人間関係が壊れていきました。原因が分かった後も水俣病を正しく理解してもらえず、就職や結婚を断られたりした人がいました。
ほかにも水俣市外では、水俣病という名前から水俣市の住民みんなが感染しているようなイメージを持たれることが多くありました。結果として、修学旅行先や進学・就職先などで差別やいじめを受けるなど、つらい思いをした人が多くいました。
▽正しい知識を持ち、差別や偏見をなくしましょう
水俣病がどのような病気なのか正しく理解されなかったために、患者や家族、水俣市民などは差別や偏見を受け、とてもつらい思いをしました。
私たちは水俣病に対する正しい知識を持ち、被害を受けた皆さんの視点に立って考えることで、水俣病に対する偏見や差別を無くしていくための努力をしていきましょう。
地域人権教育指導員 窪田龍記(たつき)
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