高校生以上39歳以下の若者が地域に触れ、本市でワクワクした生活ができるような取り組みを研究する地域づくり事業「玉名未来づくり研究所」を本年度も開催しました。本年度の取り組みをご紹介します。
■ワクワクする街に
本市も人口減少に伴い、本市では担い手の減少をはじめとするさまざまな課題が生じています。住みやすい街として維持していくためには、人々が健康で生き生きとした生活ができ、外部の人々との交流が盛んな「活力ある街」を目指していく必要があります。
しかし、高校生や大学生は通常、自宅と学校の往復で、実際に街の人の活動や仕事、地域課題に触れる機会はほとんどありません。そんな中、ことしのテーマ「マチにワクワクする場所を創ろう」に集まったのは25人(県立北稜高等学校、県立玉名高等学校、専修大学熊本玉名高等学校、誠修高等学校、大原スポーツ公務員専門学校熊本校、社会人)の若者でした。彼らが研究員として活動した記録です。
多くの研究員が初対面で緊張感漂う第1回目(6月17日)。まず、座学で本市の人口減少を学びました。数字で知る街の実態。街が衰退する理論的な話を聴いた後に、実際の街はどのような姿になっているのかを確認をするために「まち歩き」を行いました。調査をしたのは「旧中央病院エリア」、「旧市役所・商業施設跡地(マルショク跡)エリア」、「高瀬船着場跡・高瀬商店街エリア」、「玉名駅エリア」の4カ所。「身近なエリアだけど意識を持って歩くだけで新たな発見があります」と研究員。地域課題と同時に魅力も発見し、さまざまな目線を持つことができるようになりました。
第2回目(7月22日)は、街を面白くしている実践者の話を聴きました。登壇は2人。1人は東京池袋で南池袋公園の運営をしている青木純(あおきじゅん)さん。もう1人は高瀬で「HIKE(ハイク)」というカフェと宿泊施設を運営している佐藤充(さとうみつる)さんです。
青木さんはもともと不動産業。空室が生まれる中で自社物件に「他者と幸せなコミュニティーを創る」ことで空室が生まれない賃貸物件を創り出しました。この人々のつながりを大切にする取り組みを街に広げたのが「南池袋公園」です。池袋のある豊島区は東京都で唯一、消滅可能性都市となった街でした。そこで仲間たちと「子育て」を中心にした民間運営公園を提案しました。提案は見事に事業化し、居心地の良さに多くの人が集まる人気の公園になりました。さらに歩行空間を子育てしやすいエリアに変えるという活動に発展。池袋の街が少しずつ変化しようとしています。
次に、佐藤さんは現在の施設を始めるきっかけを説明。現在、カフェで提供している食を通じて、農家との交流を開始。また、子どもたちに安心して食べさせてあげられる農産物を広めるために、施設内でローカルマーケットというイベントを実施しています。この施設をさまざまな人や文化がつながる場所にしたいと活動をしているそうです。
いよいよ第3回目(8月19日)は、テーマに沿い自分のやりたいことを考える回。「本市で幸せにごきげんに暮らせるために、参加者自身は何をしたいか」という問いで、それぞれ自分のやりたいことを発表しました。発表後「自分と同じ想いを持つ者」や「素晴らしい提案で自分も一緒にやりたい」という基準で4つのグループに分かれました。
第4回目(9月18日)。他者と協働を図るためには、目標をバックキャスティング(理想から逆算して解決策を考える)で考える必要があります。そのため各班のアイデアが10年後にどうなりたいのかについて議論しました。すると、次の4つの案が出来ました。
(1)「公共交通のバスが縮小する中、体験プログラムを開発することで、バスの活性化を考える」
(2)「農業が盛んな本市だが街では農業の活力を感じられない。農業の魅力を多くの人に知ってもらいたい」
(3)「さまざまな若者の意見交換ができる。こうした交流の場と、街中に勉強できる場所を創りたい」
(4)「中央病院跡地がある。文教エリアで中心部なので、若者にも使いやすい施設や機能を考える」
本研究所の特徴は、こうした「案を実際にやってみること」にあります。自分たちが考えた案を実際に街で小さく実践した場合、どのような反響や効果があるのだろうか。どうしたら市民がワクワクしてくれるのだろうか。そのようなことを考えながら参加者は、自分たちの計画を実践するための計画書とチラシを作成しました(第5回目、6回目)。
実践の日は第7回目(10月21日)。「公開研究会・玉名を変える若者の挑戦」というタイトルで、肥後銀行玉名支店第2駐車場をお借りして研究会を開催しました。その様子をご紹介します(本紙4~5ページ参照)。
玉名未来づくり研究所 第4期スケジュール(令和5年度)
問合せ:地域振興課
【電話】75-1421
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