■第9回 米の食文化
菊池川流域は昔から米どころとして知られていましたが、一般的に白米だけのご飯を食べるようになったのは戦後のことです。今では当たり前のように食べていますが、かつて白米は祭りや行事、来客へのもてなしのときだけに出されるごちそうでした。菊池川流域には、地元の食材とお米を組み合わせた、玉名市や山鹿市の「このしろの丸ずし」や和水町の「ガネめし」などこの地域ならではの郷土料理が数多くあります。また、菊池川流域では各地で良質の米を使った日本酒や赤酒造りも行われました。
□このしろの丸ずし
菊池川が流れ込む有明海でとれる魚「このしろ」を背割りにし、塩をかけた後に甘酢で締め、中に酢飯やおからを詰めたのが「このしろの丸ずし」です。玉名市や山鹿市では正月や祝い事のときに食べるものです。
□酒造り
良質なお米と清らかな水を材料とする日本酒は、現在、山鹿市・和水町・菊池市の酒造所で造られていますが、かつては玉名市内にも酒造所がありました。伊倉で造られていた銘酒「初幣(はつぬさ)」は、大正3年の全国新酒鑑評会で入賞し、また、高瀬で造られていた「錦の露」は大正15年に全国酒類品評会において日本一に輝きました。
□赤酒
江戸時代、熊本の酒はもろみを搾る前に灰汁(あく)を入れる灰持酒(はいもちさけ)の一種である「赤酒」だけでした。明治時代になり、清酒と比べて同量の白米から醸造される量が少ない赤酒は醸造量が減少し、戦時中には製造が中止されましたが、戦後に復活しました。赤酒は、儀式や正月のおとそ、また郷土料理に欠かせない料理酒としても使われます。
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