■読書・図書室のここが好き!多読賞受賞者インタビュー
1年に2回、たくさん本を読んだ生徒が表彰される多読賞。過去に多読賞を受賞したことのある生徒に話を聞きました。
□荒木璃咲(あらきりさ)さん(2年生)
小さいころから本が好きで、去年は年間500冊以上借りました。横島図書館や市民図書館にも通っていますが、市民図書館の本は全部読んだと思うくらい読みました。玉陵中の図書室は、本の種類が豊富で面白いです。私が知らない本もたくさんあります。去年は小学生への読み聞かせにチャレンジしたら、とっても楽しかったです。
□藤川(ふじかわ)うたこさん(3年生)
小さいころから本が好きで、去年も一昨年も多読賞を受賞しました。図書室のイベントの中で一番好きなのが「Anytime5booksカード」です。たくさん本を借りたいのでうれしいです。図書室は、新しい本を積極的に入れてくれるのがいいなと思います。読書は面白いから読んでいるのが一番ですが、国語の文章問題は読書をしていると解きやすいと感じています。
□石原愛華(いしはらあいか)さん(3年生)
本は、読むと落ち着くので好きです。玉陵中の図書室は、にぎやかで、読みたい本はすぐに見つけられるくらい充実しています。イベントも楽しいし、イベントがあることで本もたくさん読めるからうれしいです。過去のイベントの景品で、好きな画像を選んで缶バッチを作ってもらったのがうれしかったです。
□永田恭一(ながたやすひと)さん(3年生)
本を読むようになったきっかけは、国語が苦手で「読書をすると国語が伸びる」と聞いたからです。短編小説が好きで、恋愛のジャンルをよく読みます。実際に本を読むようになって国語のテストのときに、文章問題を読む時間がかからなくなり、問題が最後まで解けるようになりました。
□阿部茉莉亜(あべまりあ)さん(3年生)
昨年は2回多読賞を受賞しました。本はもともと好きで、妹も一緒によく読んでいます。図書室に来る人たちがみんな楽しそうでいいなと感じています。
■協働で読書の「芽」を育てる人たち
□地域と一緒に作る読み聞かせの会
玉陵中学校では令和元年度から読み聞かせを開始。月に一度、朝の授業が始まる前約10分間を使って、保護者と「たまよりひめの会」、地域住民で読み聞かせを行います。「たまよりひめの会」は城戸美穂子(きどみほこ)さんと荒木(あらき)あけみさんが中心となって平成19年に立ち上げた読み聞かせボランティア。当時保護者だった2人が、先生に「やりませんか」と声を掛けられ、地域の人を20人ほど募り、それが会の発足につながりました。最初は勉強会から始め、県のボランティア育成や読み聞かせの研修に参加。荒木さんは現在、地域学校協働活動推進員としても玉陵中学校を地域から支え「元々シャイな性格で、読み聞かせでは緊張で手が震え声が出ないことも。でも、生徒の中には人前に出るのが苦手な子もいるので、そういう姿を見て大人でも緊張することを身近に感じてもらえたらいいと思って取り組みました」と語り、生徒がさまざまな本に触れるきっかけになればと活動を続けています。読み聞かせの本選びはそれぞれで担当。取材した日は保護者の宮本直美(みやもとなおみ)さん、茂田真美(しげたまみ)さんも読み聞かせに参加していました。2人は「自分の子どもに『どの本がいいと思う?』と聞いて一緒に選んでもらっています」と話し、城戸さんは紙芝居を選んで、会で制作した手作りの木枠を使っていました。皆さん本選びに悩みながらも、話を聞く生徒への思いを込めていました。
□本を読む、心の畑を創る
「本は『心の栄養』とよく言うけれど『心を耕すもの』だと思っています」と話すのは荒木さん。読み聞かせのときに読む本は、どんなに短い本でも1冊だけ。城戸さんは「余韻が大切で、どんな本にも何かしらのメッセージが込められています。続けて読んでしまうと余韻に浸れない。本の中で感じた気持ちを、子どもたちの心の中で留めておいてほしいんです」と語りました。
□子どもたちに何思う
子どもたちの読書環境を整えるために尽力する先生、協働するボランティアと保護者、そしてそれを素直に受け入れることができる玉陵中学校の生徒たち。そこには「本を読むこと」を通じて、深くつながる地域の姿がありました。本は子どもたちの土壌となる。子ども時代に、さまざまな登場人物に共感し、さまざまな世界に入り込み、まるで自分の体験かのように感じることは、子どもたちの生き方にどこかで影響を与え、子どもたちの強みになるのではないでしょうか。地域と学校が一緒にまいた「本を読む」という種がいつか大きな花や大きな木となりますように。
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