■荒尾市内の持続可能な取り組み
◆SDGsとは…世界的な課題を解決に導くための17の目標
世界には、環境問題・貧困・紛争・人権問題など多くの課題があり、「このままでは安定してこの世界で暮らし続けることが困難になっていくのではないか」と心配な状況になってきました。
そこで、2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を国際社会の共通目標として、地球上のさまざまな課題を世界のみんなで2030年までに解決していこうというものです。そして、課題を解決したうえでその状態を維持し、誰一人取り残さず世界中の人たちが安心・安全に暮らせる社会を目指します。
SDGsって難しく感じるけど、簡単に言えば「17の目標に向かって、一人ひとりができることをみんなで取り組もう!」ということだよ。
今月は、さまざまな課題を解決するために荒尾市内でSDGsに取り組む人たちをご紹介します!
◆「捨てない」から始まる未来
ゆめタウンシティモール (株)イズミ店長 佐古大典(さこだいすけ)さん
◇楽しみながら得をする 環境に優しい取り組み
ゆめタウンシティモールでは、環境や貧困といった社会問題の解決や、より良い地域づくりのための取り組みを行っています。特に近年広がっているのが〝捨てない〞取り組み。その一つがマイバッグ持参運動です。令和2年にレジ袋の有料化が義務付けられたことで周知は進みましたが、同店ではさらに踏み込んだキャンペーンを行いました。「廃材を使ったオリジナルのエコバッグを作りました。これをプレゼントする企画を行ったことで、意識を高める機会になったと思います」と話す店長の佐古(さこ)さん。そんな努力もあって、現在では大半のお客様がマイバッグを持参するそうです。また同店では、不要なペットボトルやアルミ缶をBOXに入れることで、お店のアプリに値引積立額が貯まっていく「自動回収機」も設置。これまで不要物を無料で回収する施設は多くありましたが、同店のように「ごみで得をする」というサービスは珍しいかもしれません。回収物は捨てることなく、再利用されています。
◇人も、地域も、お店も全方位で幸せになるために
昨年9月、太陽光パネルを使った工作教室や、フリーマーケットでリユースの大切さを学ぶSDGs体験を開催。3月にも、使わなくなったおもちゃを持ち寄り、他のほしいおもちゃを持ち帰ってもらう「おもちゃ交換会」を開催したところ、800点ものおもちゃが集まったとか。「思い入れのあるおもちゃを次の人に使ってもらえるのが嬉しい」「買うお金がなくても、おもちゃを手に入れることができた」と大好評。これらのイベントを通して、物の大切さや貧困の解決、人とのつながりを感じられることができ、有意義だったそうです。
「地域が良くならないと、お店も良くなりません。地域のために、今後も積極的に取り組みたいです」と取り組み継続の意思を話してくれました。
◆食を通じて健やかな社会を
荒尾市社会福祉協議会 地域共生課課長 野尻大輔(のじりだいすけ)さん
◇地域の問題をみんなで解決!フードドライブ・バンク事業
「地域の困りごとを、地域の皆さんと一緒に解決する」をコンセプトに、子育てや介護福祉、生活支援など幅広い分野で暮らしをサポートする荒尾市社会福祉協議会。なかでも近年広がりを見せているのが、「フードドライブ・フードバンク事業」で、これは各企業や団体・個人から寄付により集まった食品を同会が預かって管理し、主に市内の生活困窮者を対象に、緊急的に食品を提供する取り組みです。また、個人をはじめ、子ども食堂や児童福祉施設にも提供しています。
◇必要な支援を行き渡らせコミュニティの場にもしたい
「食品を無料でもらえるため、利用する側のハードルが低いという利点があります。日本人は大変な状況でもギリギリまで我慢する傾向があるので、支援が必要な人たちとの接点ができる点でもメリットが大きいです」と話すのは、同会の地域共生課課長野尻(のじり)さん。同会では対象者に食品を渡すだけでなく、丁寧にヒアリングし、その人に必要な別の支援も提案しているのだとか。話を聞いていくうちに、心身の病気や児童虐待などの問題が見えてくることが多く、踏み込んだ支援ができるという成果も挙がっています。フードドライブ・フードバンクの活動は、県内の企業や団体の理解も進んでいて、連携が大きくなっているそうです。
「今後は食品を提供する側と受け取る側がコミュニケーションを取れる『配布会』などの機会を増やしていきたいです。提供側と受け取る側の仲介だけでなく、人と社会をつなぐコミュニティとしての機能も果たしていきたいですね」と食を通じたコミュニティづくりについても話してくれました。食を通じて広がる健やかな社会に期待したいです。
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