■Scene4 地域と学生の本音
学生がもたらした変化―
菊池佐野区は熊大生たちとの交流によって、地域に変化が生まれています。学生、住民それぞれの視点でこれまでの、そしてこれからの活動について語ってもらいました。
熊本大学3年生 田中健太(たなかけんた)さん
熊本大学4年生 井上陽菜いのうえはるなさん
菊池佐野 松永芳知(まつながよしとも)さん
菊池佐野 松本堅一郎(まつもとけんいちろう)さん
◇―お互いの第一印象を教えてください。
田中(学生)…自然が豊かだなと思いました。実家が田舎だからか、佐野に来ると安心します。引っ込み思案だった僕でも、いつも皆さんが優しく受け入れてくれました。
井上(学生)…自然が豊かでたくさん田んぼがあって、ジブリみたいな世界だなって思いました。コロナ禍で勉強ばかりしていたので、佐野で農業ボランティアができるのはうれしかったです。
松本…正直、最初は相手をするのが面倒くさいと思ってた。でも、来てくれるごとに親しくなって。今では毎月来てくれるのが楽しみだね。
松永…おれは農家の最年少(47歳)で学生に一番年齢が近い。みんな年齢が離れているから心配だったけど、今は本当に元気をもらってるよ。
◇―学生が来てから変化したことはありますか。
松本… 芳知(よしとも)が一番変わったんじゃないかな。地区の行事にあんまり参加してなかったし、地域と関わろうともしてなかった。学生が来てから区の役員もしてくれるようになって本当にびっくりしている。「芳知頑張っているよね」とみんな言っているよ。
松永…自分ではあまり変わったとは思ってないけど、そうかもしれない。学生が来ると人手がいるから手伝っているうちにね。若い頃は村に残るっていうことは考えていなかったけど、出会いって大切だね。
井上(学生)…変わったといえば、佐野に来たことがきっかけで農業関係の仕事に就いた先輩がいます。卒業論文で取り上げた人もいて。佐野区から刺激を受けたサークルのメンバーが多いんですよ。
松本…卒業しても佐野に通ってくれる子もいる。本当にありがたいね
◇―7年以上交流が続いている要因は何だと思いますか。
松本…単純に楽しいからかな。最初はこんなに長く続くなんて思ってもみなかった。クラウドファンディングも、おれたちじゃ考え付かなかったし、佐野の知名度が上がって農産物の売り上げにもつながっている。ここまで深い関係になるとは思ってなかったよ。
松永…熊本大学でサークルに関わっていた先生が退職して、東海大学に移った後もそこの学生を連れて来てくれてね。つながりが広がってきている。
松本…佐野は学生が来てからまとまるようになった。みんなを気持ち良く出迎えたいから、草刈りの回数が増えたし、集落に花を植えるようになった。地域で餅つき大会もするようになったしね。今度、みんなにクリがたっぷり入ったおこわをごちそうするよ。
田中(学生)…そういう話を聞けてうれしいです。皆さんのお力になれているか不安だったので。クリおこわも楽しみにしています。
井上(学生)…佐野の皆さんはいつも優しく受け入れてくれます。だから、私たち学生もまた来たいと思うのかもしれません。
◇―今後の展望を教えてください。
田中(学生)…皆さんは少子高齢化で大変な状態だと思うんですけど、さまざまな活動をされています。少しでも力になれるように、楽しみながら佐野に通いたいです。
井上(学生)…私たちが肌で感じた佐野の魅力をもっと多くの人にお伝えできるようにしたいですね。
松永…学生が来て地域が明るくなった。学生に「私たちが佐野に来たから地域が変わった」と思ってもらえるようにもっと頑張りたい。
松本…最近は食事会や村の祭り、餅つきなど、毎年いろんなことをやっている。形を変えながらね。それは若い子たちが来て刺激をくれるから。行事で決まっているからと同じことをしていると、地域が弱くなる。少しずつ変化を取り入れて、地域のみんなで議論して、会話とともに佐野を成長させていきたいね。
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