コロナ禍の状況が落ち着き、日常の暮らしへと戻る中、TSMC進出といったチャンスや旭志地区の過疎指定に対する施策を講じるとともに、「第3次菊池市総合計画」に基づく将来像の実現に向け、着実な取り組みとなるよう予算編成を行いました。
■TSMC進出を契機とした施策の推進
企業立地や住宅開発の促進、道路・交通アクセス対策、観光・PR対策、国際交流、教育対策など、分野ごとに進めていきます。
令和5年11月には、農業・宅地・商業・工業などのバランスの取れたまちづくりに向けてゾーニングを行いました。本年度も住宅開発に力を入れることで、子育て世帯などの定住化促進につなげます。
■総合計画に掲げる横断的に取り組む項目
(1)人口減少対策
市の魅力のさらなる発信や移住支援メニューの充実及びPRの強化により、子育て世帯などをターゲットとした移住促進を図るとともに、子育て、教育、生活環境の整備などを図り、魅力あふれるまちづくりを進めます。
(2)SDGsの推進
学校や企業、市民団体、関係機関などと連携することでSDGsの普及促進を図り、市民の意識向上や地域課題の解決への取り組みにつなげ、SDGsの達成に努めます。
(3)デジタル化の推進
市役所業務の効率化や全ての市民がデジタル技術の恩恵を享受できる便利で豊かな暮らしの実現を目指します。
(4)市民協働の推進
市民・関係機関と協力しながら、住みやすく魅力的な市民参画型のまちづくりを進めます。
■重点(主要)施策 5つの政策分野
1 産業と経済について
市の基幹産業である農業については、本市独自の新規農業就業奨励金や国の農業次世代人材投資資金の活用をはじめ、営農指導員による農業技術や経営の助言・指導など、農業者に対するサポート体制を充実させ、新規就農者を確保し、優れた農業者を育成します。
観光の振興については、「観光振興ビジョン」に掲げる将来像の実現に向け、自然回帰・健康志向といった「癒(いや)し」を観光の柱として、旅行客のニーズに合った観光コンテンツをさらに磨き上げ、官民が連携して中長期的かつ戦略的な視点で取り組みます。
その中でも、旅館などが抱える構造的課題などの解決による温泉街の再生および魅力向上を目的とした「菊池温泉街リブランディング基本構想」に基づき、各主体が取り組む実行計画を官民連携により策定します。
2 子育てと健康福祉について
子育て支援の充実については、安心して子育てができる環境を整えるため、障がいのある児童や医療的ケアの必要な児童を含め、保育などを必要とする全ての児童を受け入れることができる体制を整え、待機児童ゼロを堅持します。
健康づくりについては、生活習慣病の発症や重症化を予防するために、特定健診や後期高齢者健診、歯科健診などの受診率を高め、併せて、妊娠期や乳幼児期から生活習慣病予防の視点を持ち、正しい生活習慣を身に付けることができるよう、保健指導を実施します。
障がい福祉の充実については、基幹相談支援センター設置により相談支援体制の強化を図ります。
地域福祉の充実については、地域住民の抱える複雑化・複合化した生活課題に対応し、解決を図るため、関係機関と連携し、一体的に支援を行う重層的支援体制を整備します。
3 自然環境と暮らしの基盤について
ごみの減量化については、フードドライブの実践による食品ロスの削減や生ごみ処理機などを購入する際の補助金の補助率と補助上限額の見直しを行い、市民一人一人がごみ減量への理解と関心を持ってもらえるよう意識啓発に努めます。
防災については、きくち防災・行政ナビの普及促進を進めるとともに、高齢者などの情報弱者が誰一人取り残されることなく確実に防災情報を受け取ることができるよう、戸別受信機の貸与事業を進めます。
市道の整備については、市民生活における利便性の向上と地域の活性化および歩行者などの安全確保のため、道路改良や舗装補修、側溝整備、橋りょう修繕などを引き続き実施し、適切な維持管理に努めます。
4 教育と文化について
学校施設については、「菊池市学校施設等長寿命化計画」に基づく菊池南中学校長寿命化改良工事や小学校の増改築により、教育環境の充実を図ります。
歴史文化の保存と継承については、国指定史跡となった菊池氏遺跡の「保存活用計画」を策定し、貴重な市の文化遺産として活用します。また、小中学生対象の伝統芸能クラブを発足させ、伝統芸能の継承を目指します。
5 市政運営について
行政のデジタル化の推進については、マイナンバーカードやオンラインを活用し、市民サービスの向上を図るとともに、デジタル推進コーディネーターによる情報格差の解消や、民間事業者のデジタル化による生産性の向上を図ります。また、コンピュータへの定型作業を自動化するRPAなどのデジタル技術を活用し、事務の効率化を図ります。
■予算の規模
一般会計予算は、令和5年度と比べて4・9%増の287億1800万円です。
▽歳入
自主財源である市税は、固定資産税の増加などにより、前年度から3・1%の増加を見込みました。国・県などの特定財源及び地方交付税などを加えても不足する歳出に見合う財源については、将来の健全な財政運営を検証し、財政調整基金を12億2千万円取り崩すことにしました。
▽歳出
主な事業としては、防災行政無線等整備事業(1億8218万円)、民間宅地開発支援事業(4046万円)、中学校長寿命化改良事業(7億4737万円)、小学校増築事業(3億3248万円)などが主なものです。
ホームページに「令和6年度予算書」と「市民向け予算説明書」を掲載していますので、ご覧ください。
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