~互いの人権を尊重し、支え合うことから~
(1)性別による固定的な役割分担の弊害
日本では、1999(平成11)年6月23日公布・施行の「男女共同参画社会(だんじょきょうどうさんかくしゃかい)基本法」により、男女が互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別に関わりなくその個性と能力を十分に発揮することができる社会を実現するために、様々な取組が行われています。しかし、熊本県が2019(令和元)年に実施した「男女共同参画に関する県民意識調査」によると、県民の約27%が「男は仕事、女は家庭」といった、性別によって役割を固定する考え方に同感している現状が見られました。(「人権研修テキスト(熊本県)」から)
このような、固定的な「性別役割分担意識」が続けば、様々な利害関係が生じた時に差別意識が増幅し、セクシュアルハラスメント(セクハラ)やドメスティック・バイオレンス(DV)※など、女性に対する人権侵害や暴力につながっていくことが懸念(けねん)されます。
※ドメスティック・バイオレンス…配偶者等からの暴力のことです。身体的、精神的、経済的、性的暴力などがあります。上記の「男女共同参画に関する県民意識調査」によると、県民のうち女性の21.6%がDV被害に遭っています。
(2)男女が対等なパートナーとして尊重し合える社会へ
本県の女性の就業率は全国と比べ高くなっていますが、出産や育児期には、その数値が落ち込んでいます。その要因としては、育児負担が女性に偏っていることや、長時間労働を前提とした女性が働きにくい就業関係などがあげられます。仕事と家庭・地域生活の両立のためには、「就業意欲のある女性が継続して働ける環境の整備」、「育児・介護サービスの充実」、さらには「男性の、家庭や地域生活への参画が可能になるような働き方の見直し」などに取り組む必要があると考えられます。
今、茶の間では、昭和初期、社会が「男女平等ではない」ことに違和を唱え、日本初の女性弁護士の一人で、のちに日本初の女性裁判所長にもなった三淵嘉子(みぶちよしこ)氏の生涯をモデルにしたテレビドラマが放送されています。その時代から80余年を経た今、私たちも「人にやさしいまちの実現」に向けて、男女が互いの人権を尊重しつつ個性と能力を十分に発揮することができる、男女共同参画社会の実現をめざしていきましょう。
問合せ:教育委員会 地域人権教育指導員
【電話】0967-62-0227
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