加賀市では、レッジョ・エミリア・アプローチからの学びを取り入れた、子どもたち一人ひとりの創造性を育む保育・教育に取り組んでいます。レッジョ・エミリア・アプローチは、北イタリアの都市、レッジョ・エミリアの私立学校で取り入れられている教育アプローチで、GoogleやDisneyも取り入れるなど、注目されています。「子どもは無限の可能性をもつ豊かな存在」という「子ども観」を軸にして、子どもたちが自分の興味関心を起点に、自分で考え、表現し、探究につなげていくことを大切にしています。
■加賀市保育ビジョン
▽令和6年4月に、加賀市の保育の将来像や展望などを示す「加賀市保育ビジョン」を公表しました。
加賀市では、令和5年度から、幼児教育の質向上事業として、子どもが育つ豊かな学びの環境創出を目的に、レッジョ・エミリア・アプローチからの学びを取り入れた、子どもたち一人ひとりの創造性を育む保育・教育の推進に取り組んできました。
また、加賀市の学校教育における新しい指針「Be the Player」とも連携し、乳幼児期の学びの芽生えを学童期につなげていくための関係者間の対話・研修実施などの体制整備(小学校教育との円滑な接続の推進)にも力を入れて取り組んでいます。
▽子育て支援課長 矢嶋久子さん
現代の子どもたちは、私たちが生きてきた時代と比べると、産業構造が大きく異なり、常識や前提にとらわれず、ゼロからイチを生み出す力が求められています。乳幼児期は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な時期であり、子どもたちがすでに持ち合わせている、計り知れない可能性・無数の表現の仕方を最大限に発揮できるような、豊かな保育を届けるため、この事業に取り組み始めました。
今、保育者はじっくりと子どもたちと関わり、一つ一つ丁寧に保育環境を見直しています。また、子どもたちの興味関心を起点に学びを深めるために、対話を重ねています。
これからも、「子ども観」を共有しながら、職員間、保護者、保育・教育関係者、地域の方々と一緒に、加賀市保育ビジョンの実現に近づいていきたいと願っています。
■加賀市の「子ども観」
▽「子どもは無限の可能性をもつ豊かな存在」
令和5年度、事業を進めるにあたり、特に力を入れて取り組んだのが保育士間での「子ども観」の共有です。子どもをどのような存在として捉えるのか、これからの取り組みを進めるうえで、最も基礎となる「子ども観」について、定例の園長会や保育実践の研修の機会等を通じて保育士同士が対話を重ねてきました。
この一連のプロセスの中で、加賀市において大切にしていきたい「子ども観」が形作られました。
また、公立保育園では、園ごとに定めていた『保育目標』と『保育方針』を公立保育園全体で統一する形で見直しました。
▽保育目標
わたしたちの子どもの育ちへの想い
・一人ひとりの個性を尊重し、認め合う
Diversity and Inclusion:多様性と受容性
・創造性豊かに自らの表現を楽しむ
Creativity:創造性
・発見したり、考えたり、試したり、確かめたりしながら自ら学ぼうとする
Curiosity:探究心
▽保育方針
わたしたちが大切にしていること
・一人ひとりの心や姿に好奇心をもって耳を傾ける
・子どもたちが自ら関わりたいと思う環境をつくる
・子どもたちが自らやってみたいと思う気持ちや行動をつなげる
・子どもたちの伴走者である大人自身が柔軟であり学ぶ気持ちをもつ
・子どもも大人も互いの存在を尊重し、認め合う
・子どもをまんなかに、家庭との連携を大切にする
・地域の中で子どもたちを育むためコミュニティと連携する
■まちの研究所とは?
まちの研究所は、まちの保育園・こども園の運営(都内6つの認可園、姉妹会社ナチュラルスマイルジャパン運営)で積み重ねてきた知見をいかし「こども・保育・教育領域」と「コミュニティづくり、まちづくり領域」の融合から新たな価値創造をおこなっています。
レッジョ・エミリア・アプローチ国際ネットワークの日本窓口団体JIREA(Japan Institute for Reggio Emilia Alliance)の事務局も務めています。加賀市は、レッジョ・エミリア・アプローチからの学びを取り入れた保育・教育の実践を進めていく際に、同アプローチからの学びを取り入れた保育実践や、教育・子育てを通した社会づくり、学びの環境づくりに知見をもつ同社と令和5年3月に包括連携協定を締結。
令和5年4月より、幼児教育の質向上事業として、保育園での「創造性を育む保育・教育」の試行や「創造性を育む保育・教育」導入推進プラン策定の伴走支援を行っています。
■レッジョ・エミリア・アプローチとは?
レッジョ・エミリア・アプローチとは、北イタリアの都市、レッジョ・エミリアの市立学校で取り入れられている教育アプローチで、1990年代にアメリカ版ニューズウィーク誌に世界で最も先端的な乳幼児教育として取り上げられたことを発端に、教育界で高く評価され、近年、更に世界で注目を集めています。
子どもは有能で豊かな可能性を秘めた存在であり、権利の主体者である、という考え方を基本として、子どもたちが自分の興味関心を起点に、自分で考え、表現し、探究していくこと、環境や地域コミュニティの参加を通して子どもたちの学びを支えていくことが大切にされています。
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