■乳がん検診
河北中央病院 外来看護師
▽日本では9人に1人が一度は罹患
日本人女性のがんで最も多いのが乳がんです。先進国では唯一乳がんによる死亡率が上がり続けています。比べて欧米は検診受診率が高く、早期に治療が開始されるため、高かった死亡率が下がっています。
▽どの年代が気にするべき?
乳がんは30代後半から増え、40代後半と60代前半にピークがあります。最近では20代や70代の患者さんも増えています。どの世代でも乳がんに関心を持つことが大切です。
▽乳がん検診の現状
日本の乳がん検診の受診率は低く、欧米の80%に対し日本は50%です。(国民生活基礎調査より)2年に1回の受診を含め、石川県の40歳から69歳女性の乳がん検診率は50%未満です。この差が、死亡数の増減に現れています。
▽早期発見の意義
乳がんは治療法が進み、早期に見つけて標準治療をすれば、9割以上のケースで治癒します。しかし、進んだ状態で発見されたものは生存率が下がってしまいます。
▽乳がん検診とは
乳がん検診の目的は、乳がんで亡くなる人を減らすことです。検診には、対策型乳がん検診(住民健診)と、任意型乳がん検診(人間ドックや職場検診)があります。住民検診で対象になるのは40歳以上ですが、若い方でも、初潮年齢が早い・出産経験がない・乳がんの血縁者がいるなど、乳がんリスクが高い方は、ご自身で任意型乳がん検診を受けましょう。
▽高濃度乳房
高濃度乳房とは、乳房の中の乳腺が多いことです。アジア人は欧米人に比べ高濃度乳房が多く、特に20~30代の方には多く見られます。マンモグラフィーで腫瘤は白く映りますが、乳腺が多いと背景も白く映り、本来発見したい腫瘤が隠れてしまいます(偽陰性)。このタイプの乳房の方は、ドックなどで、マンモグラフィーとエコー検査を併用することが望まれます。
マンモグラフィーのみの検診で異常なしでも、自覚症状(乳房の変形、しこり、分泌物など)がある場合は医療機関を受診しましょう。
▽ブレストアウェアネス
乳房を意識する生活習慣のことです。着替えや入浴時に、普段から乳房を見て、触って、感じ、乳房の状態を知ることを習慣づけてください。しこりや分泌物を自覚したら、早めに医療機関を受診しましょう。
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