それでは、新年度における主要な事業について、分野別にご説明を申し上げます。
◆保健と福祉
はじめに、保健と福祉の取り組みでございます。
近年、家族構成や地域を取り巻く環境の変化等に伴い、介護や障がい、育児、生活困窮など、複数の福祉的な課題を抱える方への支援が必要となっています。こうした市民に対し、更なる支援ができるよう、新年度から福祉の相談支援体制の充実を図ってまいります。
各窓口では、相談者やその家族が抱える課題の全体像を把握し、必要な支援策を相談者とともに検討します。また、総合的な支援を進めるため、健康福祉総務課に新たな係を設置し、関係部署間の協議や外部団体との連携を促進する役割を担います。あわせて、より相談しやすい環境を整えるため、関連部署のレイアウトを本年4月から変更し、利便性の向上も図ってまいります。
睡眠不足は、様々な病気のリスクとなることが指摘されており、質の高い十分な睡眠をとることが重要です。また、笑うことには、ストレスの軽減や免疫力の向上、さらには生活習慣病の予防・改善などにも効果があると言われており、いずれも私たちの健康に深く関わっています。そのため新年度には、関連企業や専門家と連携し、睡眠と笑いに関する講演会を開催いたします。
大和市立病院は、地域の基幹病院として、安全で質の高い医療の提供に取り組んでまいりました。中でも産婦人科や小児科については医療体制を充実させ、拠点的な役割を担うことで、出産や子育てに際し、安心して医療を受けていただける環境の整備に努めてきたところです。
新年度は、肺の細胞などを詳しく検査できる超音波内視鏡を導入することで、肺がんなどの治療環境の向上を図ります。加えて、緻密な手術を可能とし、患者の負担が軽減できる手術支援ロボットも導入いたします。これは、前立腺がんなどで術後の経過が良くなる可能性が高いことが認められており、より高い医療サービスの提供につながるものです。
また、定期的に実施しているアンケートでは、診察までの待ち時間が長いというご意見やその対策を望む声をいただいております。新年度は、診察の待合モニターの内容をスマートフォンでも確認できるアプリを導入し、待ち時間を有効に利用していただけるようにするなど、サービスの一層の強化を図ってまいります。
◆子育て支援
次に、子育て支援の取り組みでございます。
本市では、出産後にサポートが必要な母子を対象に、身体的・心理的支援を行う産後ケア事業を実施しています。現在は、日帰りで施設を利用できる「通所型」と、助産師による「訪問型」を行っておりますが、新年度はこれに加え、宿泊を伴って利用することができる「宿泊型」のサービスを新たに実施してまいります。
本市が国に先んじて実施してきた不妊治療に対する助成は、令和4年度から保険適用となりました。このような状況を踏まえ、こどもを授かることを望む方が安心して不妊治療を受けられる環境をさらに充実させるため、新年度からは、保険診療と併用した先進医療に係る費用について助成を開始いたします。
すくすく子育て課に開設している「子育て何でも相談・応援センター」では、妊娠や育児に関することをはじめとした母子保健と児童福祉の相談にワンストップで対応できる体制を整えています。
新年度は、これに児童福祉法に基づく「こども家庭センター」の機能を追加し、サポートプランの作成などを通じて様々な支援メニューにつなぐことで、妊産婦や子育て世帯、こどもへの支援をより一層強化してまいります。
本市の保育ニーズは低年齢児を中心に今後さらに上昇すると見込まれております。また、私のもとには、保育所の増設をはじめとした、保育に関する多様な市民の声が多く寄せられており、引き続き状況を見極めながら、ニーズに応えていくことが必要となります。これらを踏まえ、新年度は、認可保育所2施設の新設を支援してまいります。
◆こどもの学び
次に、こどもの学びの取り組みでございます。
本市では、保護者の負担を増やすことなく安定した学校給食を提供するため、令和4年度から学校給食費における食材料費高騰分の支援を行ってまいりました。依然として物価高騰の影響は続いているため、新年度も引き続き支援を実施してまいります。
現在、小中学生の保護者向けの学校連絡等については、やまとPSメールの配信やプリントの配布により対応しているところですが、保護者の利便性の向上と教職員の事務負担軽減を図るため、新年度には、アプリ等を通じて学校からのお知らせなどを共有することができるデジタル連絡システムを導入します。これにより、学校と家庭の確実な情報共有の実現と、双方の負担軽減を図ることで、こどもたちに向き合う時間の確保につなげてまいります。
教育現場では、いじめ問題や学校で起きてしまった事故などについて、法律的な観点に即した対応が必要となる場合があります。このため、学校における法的問題やトラブルの解決にあたり、教育委員会や学校関係者に対して助言や指導を行う、法律の専門家であるスクールロイヤーを新年度から新たに配置いたします。
国は、少子化の進行により部活動の維持が難しくなっていることや教員の負担軽減といった視点から、文化部や運動部の活動を地域のクラブ等に移行していく考えを示しています。しかしながら、現時点では生徒を受け入れることが可能なクラブ等が全国的に極めて少ない状況であるなどの課題があります。
このため本市では、現職の部活動顧問のうち希望する職員には、引き続き休日も含めた部活動の顧問を担ってもらい、必要な手続きを経た上で兼職や兼業を可能とし、「(仮称)部活動地域移行推進員」として、地域移行の検討、調整を行う中心的な役割を果たしていただきたいと考えております。
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