旧東海道(国道1号)から海へ向かい、少し進んだ先の南町に位置する西海子小路(さいかちこうじ)は、村井弦斎(げんさい)が大ベストセラー小説「食道楽」を、北條秀司(ひでじ)が「王将」などの名作戯曲を発表し、また、谷崎潤一郎と佐藤春夫の「小田原事件」の舞台ともなるなど、どこか文学が引き寄せられる不思議なゆかりを持つ土地です。
桜並木の続く真っすぐな通りの近辺には、村井や北條、谷崎の他、多くの名作童謡で知られる北原白秋、詩人の三好達治、劇作家の岸田國士(くにお)らの居住地や、民衆詩派の詩人福田正夫、白秋に師事した藪田義雄、俳人の藤田湘子(しょうし)らの生誕地など、近代文学史を彩るさまざまな文学者たちにゆかりの遺跡が点在しています。北村透谷(とうこく)らの生誕地、白秋が初めて建てた自宅「みみづくの家」や坂口安吾の居住地なども目と鼻の先。
小田原文学館は、彼らをはじめとする小田原出身、ゆかりの文学者を広く紹介するため、平成6年11月、西海子小路の一画に建つ旧田中光顕(みつあき)別邸(国登録有形文化財)を活用して開館しました。
名高い文学者の記憶が刻まれた西海子の閑静な空間の中、この館では、あまたの近代文学の星たちが今も強い光芒(こうぼう)を放ち、文学を求める人々を照らし続けています。
◆イベント情報
《記念特別展「小田原出身・ゆかりの文学者たち―その手蹟と事績」》
期間:10月24日(木)~12月8日(日)
※月曜休館(休日の場合は翌平日)
午前10時~午後4時30分(入館は午後4時まで)
場所:小田原文学館 本館2階展示室
入館料:一般250円、小・中学生100円
《関連催事 西海子周辺 文学散歩》
日時:11月30日(土)・12月1日(日)午前10時~正午
※小雨決行
集合:小田原文学館 本館玄関前
散策地:北原白秋、谷崎潤一郎、斎藤緑雨(りょくう)、村井弦斎、小杉天外、北條秀司、岸田國士、三好達治、坂口安吾の居住地跡など(予定)
定員:各10人・申込先着順
申込:11月12日(火)以降、中央図書館に電話で
北原白秋自筆の和歌入り屏風(びょうぶ)(六曲一双・左隻)
※屏風とはがきは、記念特別展で原本を公開します。
谷崎潤一郎が北原白秋に送ったはがき
※詳しくは本紙をご覧ください。
【WEB ID】P00924
問い合わせ:中央図書館(かもめ)
【電話】49-7800
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