11月12日(日)まで、平塚市文化祭が中央公民館などで開かれています。今号では、市文化祭に向けて練習に取り組んだり作品を描いたりしている3団体を紹介します。文化・芸術に触れて、新たな発見をしてみませんか。
■文化の魅力を伝える機会
「市文化祭を通して、市民の皆さんに文化・芸術に親しんでいただきたいですね」と、平塚市文化連盟会長の加藤宏さんは穏やかにほほ笑みます。同連盟は昭和28年に創立。音楽や絵画、洋舞などの文化活動に取り組む19団体で構成されていて、市文化祭には開催当初から運営などに携わってきました。
市民の創作・発表の場として開かれる市文化祭は、コンクールなどとは違い、文化・芸術を楽しんでもらうことに重きを置いています。「市民の皆さんが楽しめることが一番です」と、加藤さんは笑顔を見せます。
平成31年から会長を務める加藤さん。役職や経験年数などにとらわれることなく、コミュニケーションを大切に、楽しく活動ができるような環境づくりを心掛けてきました。「便利な社会になった一方で、自分を見つめる機会が少なくなってきていると思うんです。美術関係の展示や舞台発表などの種類を問わず、文化活動は自分自身を見つめる機会を与えてくれます」と、文化活動の魅力を話します。たくさんの人と知り合い関わることで、自分の居場所が新たにできるのもメリットだとか。「さまざまな考え方の人と出会えるので、社会の見方が変わります。私も絵画の活動をしている中で非常にプラスになっていると感じていますね」とにっこり。思っているよりも文化活動を始める敷居は高くないと加藤さん。普段の生活にプラスして、何かしらの遊びを持つことは人生が豊かになる、と自身の経験を語ります。
「市文化祭は、さまざまな文化・芸術に触れられる良い機会です。気軽に会場へ足を運んで、楽しんでくださいね」
■歴史ある文化の祭典
「日頃の取り組みの成果を思い切り発揮してほしいです」と話すのは市社会教育課の吉水伶奈(れな)主事。市文化祭の日程調整をはじめ、施設の予約や市文化連盟との連絡・調整などを担当しています。平塚に文化・芸術を普及させるために、多くの人に市文化祭を知ってもらいたいと主張します。
第1回市文化祭が開かれたのは、昭和28年。展示会や舞台発表など、12部門で開かれました。71回目を迎える今年は、19部門で開かれます。新型コロナの影響で、昨年までは一部舞台発表の中止などがありましたが、今年は新型コロナの流行前とほぼ同様に開かれます。
開催期間中は市内3施設で展示会や舞台発表などがあります。「市文化祭に出る人も見る人も、文化・芸術への興味をさらに深めてほしいですね」と思いを語ります。
■ドレミ倶楽部(クラブ)
◆(音楽)ベルが奏でる美しい音色
8月25日、旧横浜ゴム平塚製造所記念館(八幡山の洋館)に、リンリンとミュージックベルの明るく澄んだ音色が響きます。ミュージックベルを楽しむ団体「ドレミ倶楽部」が、市文化祭で演奏する曲を練習しています。ミュージックベルは、誰でも気軽に演奏できるベルとして、日本で生まれた楽器です。
藤吉公子さんがミュージックベルをより多くの人に楽しんでもらいたいと立ち上げたのがドレミ倶楽部です。活動を始めたきっかけは、同館でのイベント。藤吉さんを含め、ミュージックベルの指導者たちがコンサートをしたときに、お客さんに体験してもらったところ、とても良い反響があったと振り返ります。月に一度、同館でドレミ倶楽部のメンバーにミュージックベルを教えています。
ミュージックベルの内側には、クラッパーという振り子がバネの先に付いていて、ベルを振るとクラッパーが鐘に当たり音が鳴ります。よく比較されるハンドベルは、音によって鐘の大きさが違う他、鳴らし方にコツが必要です。ミュージックベルは振るだけで音を鳴らせるので、子どもでも楽しめます。
○アンサンブルが魅力
一人一人が、同じ大きさ、同じ形の楽器を持つのもミュージックベルの特徴です。「1人で曲を演奏するのではなく、2人以上で、簡単にアンサンブルを楽しめるのも魅力です」と藤吉さんは語ります。
市文化祭での発表を意識し、演奏曲の練習を始めたのは7月から。ドレミ倶楽部としては、今年が初めての参加です。舞台での発表という目標に向かって、練習に励んでいます。
演奏中は、奏者全員で一体感をもって演奏します。担当のところだけ考えていると出遅れてしまうので、曲全体の流れを感じながら演奏するのがポイントだと言います。「市文化祭当日は、演奏を楽しんでいるところに注目していただきたいです。美しい音色をぜひ聴きに来てください」。
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