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自治体の皆さまへ

多様化するPTA(1)

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神奈川県平塚市

保護者と教職員が協力し、子どもを見守り、成長を支えるPTA。今号では、運営方法を見直すなど、工夫して活動する三つの市内公立小中学校PTAを紹介する。

◆PTAってどんな団体?
PTA:Parent(ペアレント)Teacher(テイーチャー)Association(アソシエーション)の略称。日本語訳は「父母と先生の会」。
PTAは昭和21年頃から全国的に推奨された社会教育団体。子どもの健やかな成長を図ることを目的としている。各学校のPTAは「単位PTA(単P)」、単P全体の取りまとめなどをする団体は「PTA連絡協議会(P連)」と呼ばれている。現在、平塚市立小・中学校の全43校に、単Pがあり、その全てが市P連に加入している。市社会教育課の木村圭太主査は、「PTAは独立した存在で、平塚市でも学校によって規約などがあり、運営方法もさまざまです」と説明する。単Pが単独でできないことなどは、市P連が窓口となって、一緒に考えたり、要望書を取りまとめて市に提出したりしている。「時代の変化に応じて、さまざまな見直しをする中でも、目的は変わらないと思います。子どもたちのための活動が途切れずに続くように、市としても応援していきたいです」。

◆子どもを思い、続く伝統(金旭中)
「学校祭で豚汁を食べるのを、子どもたちが毎年楽しみにしてくれているんです」と、金旭中学校PTA会長の早川誠さんは話す。学校祭の豚汁作りが始まったのは20年前。防災時の炊き出し訓練も兼ねている。豚汁作りの前は、マラソン大会を終えた生徒に、お汁粉を作り振る舞う時代もあった。行事で振る舞われる大鍋料理は、世代が変わっても生徒に愛されている。

◇広がる協力の輪
PTA役員と、部活動の健全な育成・振興に寄与することを目的とする部活動育成会の運営でスタートした豚汁作りは、協力の輪を広げていった。「PTA役員だけでは大変な部分を、地域団体などの力を頼るようになりました」と早川さん。「昔から女性役員の割合が多いので、大鍋の豚汁を分配した重たい食缶を、役員だけで各クラスに運ぶのは、毎年大変だったんです」と続ける。現在は、同校区地域教育力ネットワーク協議会や同校地区青少年指導員、卒業生などの父親で構成される「おやじの会」の協力がある。加えて前回から、前年の卒業生もボランティアとして参加するようになった。

◇家庭に寄り添う
タイムスケジュールも、前年の反省を生かして、毎年変更している。今回は前日準備の時間を変更した。小学生のいる家庭も多いことから、子どもの帰宅時間などを避けた時間帯に変更するのはどうかと、本部役員から提案があったそうだ。「参加できる方が来やすい時間帯を、聞き取りました。多くの人が集まることで、準備時間の短縮にもつながって、みんなが早く帰れますからね」。話しぶりから参加する役員らへの思いやりが見られた。また、運動会に参加した一部の役員には休んでもらうなど、年間を通して役員の負担を分散できるように配慮もしていた。

◇心に残る思い出を
早川さんは「学校祭で豚汁を食べたことは、金旭中学校に通っていたからこそできた、地域らしい思い出になると思うんです。喜んでくれる生徒たちのためにも、これからも大切にしてほしい伝統です」と思いを語る。「直接生徒たちが喜んでいるところを見ると、やりがいを感じます。役員からも『やって良かった』という声を多く聞く活動です」。早川さんは、副会長・会長として本部を務めた2年間で、できる範囲で恒例のやり方を見直してきた。「地域・保護者・先生がここまで近い距離で、学校生活に関われるのは中学校が最後だと思うんです。親の都合だけでなく、生徒たちへの影響を1番に考えた選択を、今後役員をされる方にもしてもらえたら、と思っています」と力を込めた。

◆役員の声を聞く(八幡小)
「スケジュールは毎年同じでも、役員は毎年入れ替わります。次に役員になる方が楽をできるように、運営方法などを考えていきました」と話すのは、八幡小学校PTA会長の鳥飼裕之さん。少しずつ現状に合うように、役員の仕事分担などを考えていったと振り返る。

◇仕事の偏りなくす
「役員から相談を受けたり、各委員会で負担が大きくなっていたりした仕事を見直していきました」と鳥飼さん。「行事を手伝う回数など、仕事量が平等になるようにしています」と続ける。
見直しの一つが「PTAだより」の電子化だ。「5人いる本部にも仕事量に偏りがあったんです。なくせる仕事はないかどうかを聞いたときに、挙がったのがPTAだよりの印刷・集計などの作業でした」と説明する。毎回、約300部を本部役員3人で用意していた。せっかく時間をかけた便りも、紙だと保護者の元に届かず、子どものランドセルの底に……なんてこともしばしば。「現在はPDFにした便りを、学校の協力を得てメールで各家庭に送っています。少しでも負担が減らせて良かったです」と安堵(あんど)した表情を見せた。

◇ハードルを上げない
鳥飼さんは各会員に、「できる範囲で」の言葉を繰り返し掛けてきた。「前年よりも良くしようとハードルを上げると、負担も大きくなってしまいます。限りある時間の中でも協力的な皆さんに、無理なく活動してもらえるよう、お声掛けしてきました」と役員への思いを語る。

◇地域と学校をつなぐ
体制などを変化させていく中でも、鳥飼さんは地域とのつながりづくりを、注視する。「日頃から地域の方には、登校班の見守りなど、熱心に子どもたちを気に掛けていただいています。ありがたいですね」と感謝を語る。こうした関係づくりのために、同校PTAが大切にしているのが「やわたふれあいフェスティバル」だ。本年度は昨年11月25日に開かれ、自治会や体育振興会など、地域の9団体が参加した。「今回も楽しそうに、地域の方と触れ合う子どもたちの笑顔が見られましたね」とほほ笑む。主催するPTAにとっても、学校で過ごす児童を知る貴重な行事だ。「今回も多くの役員が力を貸してくれました。PTAの出し物は、役員が考えているんですよ」。企画した「シルエットクイズ(箱に入った物の影を見て当てる)」とオリジナルのトートバッグ作りは、児童に大好評。「子どもたちの喜ぶ姿は、活動の原動力になりますね」。

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