◆生活環境を守るには(市環境保全課)
人も猫も幸せに暮らせるまちづくりのために、一人一人ができることは何でしょうか。同課の三澤麻代主管に話を聞きました。
◇トラブルゼロを目指して
市には猫に関係する苦情や相談が、年間200件以上寄せられます。令和元年〜5年の苦情・相談件数の合計を見ると、約4割を苦情が占め、そのうち約9割がふん尿に関するものでした(下グラフ)。「苦情のほとんどはふん尿被害と言ってよい数字です。野良猫によるものなのか、外に出ている飼い猫によるものか区別は付きませんが、生活環境の改善には、ふん尿被害を減らすのが肝要です」と、三澤主管は訴えます。「一つ目の対策は、野良猫のTNRで外にいる猫の数を増やさないこと。二つ目の対策は、飼い猫の完全室内飼養です」と強調します。
・令和元年~5年の苦情・相談件数の合計
◇周囲への被害を減らす
一般的に猫の繁殖期は春と秋の年2回といわれています。しかし、平塚市のように年間を通して温暖な地域では、年3回〜4回出産する野良猫も。「平塚市では野良猫がゴミをあさって生きているようなケースはあまりなく、餌やりをされていて栄養状態が良い場合が多いです。栄養状態が良いと次々と繁殖してしまうので、早めのTNRが重要です」。
ふん尿の苦情と併せて寄せられるのが、猫が車に傷をつけてしまったり、バイクのシートを爪でボロボロにしてしまったりという、器物への被害です。市では被害に困っている人のために、対策方法をウェブで公開している他、超音波の猫よけ器の貸し出しなどもしています。
また、相談のうち1割は、普段から外を歩かせている猫が帰ってこないという、迷子の連絡です。「外に出した猫が無事に帰ってくるのは『たまたま運が良かっただけ』と思いましょう。外は危険にあふれています。猫の交通事故だけを見ても、年によっては市内で年間600件近く起こっているのです」と三澤主管。「毎日1〜2匹の猫が交通事故で亡くなっている計算です。室内飼養を徹底すれば、愛猫の事故や迷子を防ぎつつ、周囲へのふん尿や器物の被害も減らせます。外に出さないのは猫への愛情ですし、同時に周囲への配慮でもあるんですよ」。
◇手術費用のためご支援を
市ではTNR推進のため、野良猫の不妊・去勢手術費用の一部を補助しています。「補助額の増額を目的としたクラウドファンディングを、今回初めてします。より気軽に猫に手術を受けさせることができるよう、手術をしていただく方の費用面での負担を減らすのが狙いです」と三澤主管。猫の不妊・去勢手術にかかる費用は、平均でオスが約9000円、メスが約1万円です(令和4年度の市補助金実績より)。クラウドファンディングで資金が集まれば、補助金の額を増額し手術費用の半分ほどを賄えることになります。
「野良猫の繁殖を抑制し人間の生活環境を守るため、手術費用の補助は、これからも続けていきたい取り組みです。補助額の維持のため、ぜひ、ご支援をお願いします」
◆手術費用のクラウドファンディングを募集
野良猫の不妊・去勢手術に交付する補助金の資金として、クラウドファンディングを募集します。寄付した場合、寄付金控除が受けられます。寄付の方法など、詳しくは、市ウェブをご覧ください。右の2次元コードからもアクセスできます。
募集期間:11月30日(土)まで
目標金額:200万円
◆手術費用を補助
令和6年度は補助額を増額しています。詳しくは、市ウェブをご覧ください。右の2次元コードからもアクセスできます。
※2次元コードは本紙をご覧ください。
補助の対象:市内在住の方や自治会長が、県内の動物病院で猫に手術を受けさせるもの。自治会の取り組みとして手術をする場合は、事前に環境保全課へご相談ください
対象の猫:市内に生息する健康状態の良い野良猫。補助額は1匹につき手術費用の2分の1か、メスは5,000円・オスは4,000円までのいずれか低い額
応募方法:市ウェブや本館5階の環境保全課【電話】23-9969にある申込書を、郵送または直接、手術前に、同課へ。(e)
◆動物の遺棄・虐待は犯罪です
野良猫はもちろん、飼い猫・飼い犬などの愛護動物は、法律で守られています。動物を傷つける行為は絶対にしてはいけません。
愛護動物をみだりに殺したり傷つけたりした者5年以下の懲役または500万円以下の罰金。
愛護動物を虐待または遺棄した者 1年以下の懲役または100万円以下の罰金。
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