かつて一大観光地としてにぎわった愛川町半原の「中津渓谷」。現在、この地は宮ヶ瀬ダムに姿を変え、治水や利水の側面から私たちの生活に無くてはならない存在となっています。
しかし、宮ヶ瀬ダムの役割はそれだけではありません。
以前の中津渓谷にも負けないたくさんの人が訪れる観光名所となりました。
宮ヶ瀬ダム誕生の物語をお楽しみください。
YouTube愛川町チャンネルで動画バージョンをお楽しみいただけます。
※二次元コードは本紙をご覧ください。
◆その計画は、今から55年前のこと
昭和44年、宮ヶ瀬ダム建設の計画が始まりました。この頃の中津川は台風や大雨により水害で大きな被害を出すことが多く、ダム建設の目的として「治水」という側面も大きかったのですが、もうひとつ相模川流域の人口増加により上水道や工業用水道の供給が追いつかない状態にあり、神奈川県の水がめとしての「利水」という両方の面がありました。こうして風光明媚な中津渓谷がダムにカタチをかえることになったのです
◆準備に15年、建設に17年
ダム建設に伴い281戸の方々が移転を余儀なくされましたので、皆さんにご理解、ご協力をいただくのに15年を要しています。
ダム建設で最初に取りかかることは道路を作ることです。工事用の道路やダム本体工事のため中津川を迂回させる仮排水トンネルを作ります。
平成元年にはダム本体の掘削が始まり、2年後にはコンクリートの打設が始まりました。
平成5年には当時の皇太子殿下のご成婚を祝って日米交流コンサートを行うなど、次第に宮ヶ瀬ダムは注目を集めるようになりました。平成7年からは試験湛水が開始され、ここから約3年かけてゆっくりと水を貯めていき、宮ヶ瀬ダムは完成しました。
・昭和44年4月 相模川一級河川指定(公示)
・昭和44年9月 宮ヶ瀬ダム建設構想を発表
・昭和46年4月 宮ヶ瀬ダム調査事務所開設
・昭和49年4月 宮ヶ瀬ダム工事事務所と名称変更
・昭和53年5月 ダムサイトが石小屋地点に決定
・昭和53年12月 宮ヶ瀬ダム基本計画決定(公示)
・昭和56年8月 水没地、一般損失補償基準調印(清川村、津久井町)
・昭和59年3月 仮排水トンネル工事着手
・昭和59年6月 ダムサイト用地、一般損失補償基準調印(愛川町)
・昭和62年11月 本体建設工事に着手
・昭和63年2月 仮排水トンネル転流開始
・平成元年10月 本体掘削着手
・平成3年10月 本体コンクリート打設開始(定礎式11月)
・平成5年3月 石小屋ダム着手、道志導水路・津久井導水路着手
・平成6年11月 本体コンクリート打設完了
・平成7年10月 試験湛水開始
・平成9年4月 愛川第1・2発電所運転開始
・平成10年10月 試験湛水完了
・平成11年4月 本体および津久井導水路による一部運用開始
・平成12年12月 宮ヶ瀬ダム本体工事完了
・平成13年3月 道志導水路完成、宮ヶ瀬ダム建設事業完成
・平成13年4月 宮ヶ瀬ダム本格運用開始
かつて一大観光地としてにぎわった愛川町半原の「中津渓谷」
全国観光百選の一つに選ばれるなど、風光明媚な観光地として親しまれ、年間100万人を超える観光客が訪れていました。
◆土日は1日2万人の観光客
当時は石小屋にあった
観泉荘こまや 小泉稔雄さん
中津渓谷はかつて横浜や鎌倉に並ぶ、神奈川県の3大名勝のひとつと謳われ、土日は押すな押すなで、道に人が溢れかえってました。
今の東京の竹下通りの休日よりも混んでいる感じで、それはまるでお祭りのようでした。おそらく1日に2万人ぐらいは観光客が来ていたのではないかなと思います。
中津渓谷の岩肌はとてもきれいで、一雨降れば、岩がキラキラと光り、まるで宝石のようでした。中津川の清流も今と変わらず美しく、カワセミもよく見ましたね。
◆最新技術を凝らした宮ヶ瀬ダムのRCD工法
国土交通省 関東地方整備局
相模川水系広域ダム管理事務所
佐藤 薫 広域水管理課長
宮ヶ瀬ダム工事では、200万立方メートルにおよぶ大量のコンクリートを効果的かつ経済的に施工するためにRCD(Roller Compacted Dam-Concrete)工法を採用。当時の建設省が世界に先駆けて開発したダムの効率的な施工方法で、セメントの量を抑えた超硬練りのコンクリートを敷き均して、振動ローラにより固める工法です。
宮ヶ瀬ダムにおけるRCD工法の特徴は、世界で初めてのダンプ搭載型のインクライン導入や振動ローラなど新しい施工機械の導入など、さまざまな最新技術を凝らして施工を行ったことです。これにより従来の工法に比べ、安全性の向上、経費削減、工期短縮が可能となりました。
◆知ってる?
横浜ランドマークタワーとほぼ同体積のコンクリートでダムを建設!
宮ヶ瀬ダムは首都圏最大級のダムでコンクリートの使用量は200万立方メートルと膨大。
なんと、これは横浜のランドマークタワーと同じ体積となります。
問い合わせ:商工観光課 観光振興班
【電話】(内線)3523
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