能登半島地震では、交通や通信などが途絶える中、地域での支え合いが大きな力を発揮しました。こうした顔の見える関係は、毎日の暮らしの中で少しずつ培われていくものです。そんな日々の支え合いの中心を担っているのが自治会町内会の皆さんです。
■市職員も被災地支援の現場で感じたつながりの大切さ
水道局 石井職員
避難所では、被災者の方々が給水や洗濯で譲り合ったり、助け合ったりする場面を見かけました。日頃からの関係性があることで、大変な中でも、穏やかな空気が流れており、人とのつながりが心の支えになるということを体感しました。また、自治会が防災に積極的に取り組んでいたことで、スムーズな避難につながったという話も伺い、日頃の防災訓練などの重要性もあらためて感じました。
■防災・減災に取り組む自治会町内会の活動を紹介します
◆ヨコハマタワーリングスクエア自治会(西区西平沼町)
25階建ての高層マンション内に625世帯と6事業所が入る会員数631の自治会です。年2回の防災訓練や、近隣の地域防災拠点と連携した避難所の立ち上げ・避難者受入訓練、月例定例会を開催しています。また、食料・飲料・簡易トイレパックなどの防災備蓄品を自治会で購入し配付することで、家族実態の把握や啓発などを行っています。
◆日々の活動についてインタビュー
▽「防災を軸に生まれるつながり」
会長 平野 周二さん
10年ほど前にまちづくりを学ぶ講座に参加した際、地域ぐるみで防災に取り組む必要性を強く感じました。近隣で家屋が倒壊した人が優先的に地域防災拠点を利用できるよう、マンションの住人の皆さんには、可能な方は在宅避難するよう日頃から呼びかけています。備蓄品はポスト投函ではなく、指定の日に取りに来てもらうことで、住人の皆さんの顔が見える関係づくりにつながるようにしています。
また、発災後の事だけでなく、発災時に生き残るための備えも大切です。家具の転倒防止策や、感震ブレーカーの設置など、普段からできる対策がたくさんあります。地区の代表として、子どもたちに防災の話をする時には、「まわりに大人がいないときは、自分で考えて、自分の判断で避難すること。自分が助かってはじめて周りを助けられる。自助が共助につながっていく」と伝えています。
私自身も、自助としての防災対策や備蓄をしているほか、防災士などのさまざまな資格を取ったり、講座を受講するなど、自治会の皆さんと一緒に学びながら、日々情報をアップデートしています。
▽「自分の階まで、はしごが届かないことが判明」
鈴木 二三子さん
はしご車の訓練をした際、12階までしか「はしご」が届かないことが分かりました。私の階まで当然届くと思っていたので、火事を起こさないようにするにはどうしたらよいか、万が一の時はどうするかを考えるきっかけになりました。消火栓も、場所は知っているけれど、使い方は分かりませんでした。自治会に入り、防災訓練や会長の話を聞くことで、日頃からの備えの大切さに気付いた気がします。
今は、我が家でも3~4日分の食料とカセットコンロを用意するようにしています。
▽「自治会に入って、我が家の意識が変わった」
井関 元子さん
東日本大震災当時、息子が仙台にいた事もあり、災害時に必要な物品の備えができていないとその時気付きました。また、自治会に関わる中で、防災の具体的な備え・対策を知り、我が家に合った備蓄品も増やしましたし、居場所を知らせるための笛やライトなども用意しています。
防災訓練も、忙しいとつい欠席してしまいがちですが、時間が経つとせっかく覚えた防災知識を忘れてしまう。毎年やっておくことで、いざという時に動けるようになると思います。
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