市内に点在する史跡や文化財などを詠(よ)んだ「海老名郷土かるた」から、ことしの干支(えと)の「た」「つ」の札にまつわる話を紹介します。由来の場所には歌が書かれた擬木柱(ぎぼくちゅう)があります。
■た/玉椿(たまつばき) 咲(さ)かずに落(お)ちる 地蔵(じぞう)堂
▽椿地蔵とツバキ
約300年前のある日、病を抱えた娘が母と共に杉久保にいる将軍家の主治医を目指して江戸をたちました。たどり着く途中で容体が悪化し、診察を受ける前に亡くなってしまいました。
村人たちは娘を弔って地蔵堂を建て、傍らにツバキを供えました。ツバキの一枝が根付いて成長しましたが、不思議とつぼみのまま花を咲かせず落ちてしまうようになりました。娘の心がツバキに宿ったのだろうと、いつしか村人たちは信じるようになりました。
擬木柱所在地:杉久保南4-12、椿地蔵バス停付近
▽玉椿
椿地蔵のツバキは現在樹齢約300年。市の天然記念物に指定されています。花を咲かせることなく、つぼみのまま落ちてしまうことから「玉椿」と呼ばれています。実際には遺伝子の異常によるものと考えられています。
■つ/釣鐘(つりがね)は 国分季頼(こくぶすえより)の 銘残(めいのこ)す
▽国分寺の銅鐘
正応5(1292)年、海老名氏の一族である国分季頼(源季頼)が国分尼寺に寄進したものです。作者は、銘文から鎌倉市円覚寺などの洪鐘(おおがね)を手がけた名工・物部国光(もののべのくにみつ)と分かっています。現在は国分寺境内にあり、国指定重要文化財に指定されています。
擬木柱所在地:国分南1-25-38、東光山国分寺境内
▽海老名氏
海老名氏は村上天皇の流れをくむ源氏一族という説があり、本市との関連は源有兼(みなもとありかね)が相模守(さがみのかみ)として在任したことからといわれます。子孫の〝季貞(すえさだ)〟は鎌倉時代の歴史書に名を遺(のこ)す名武将です。海老名氏の菩提寺があったと伝わる河原口には、彼の愛称〝源八さん〟と親しまれる霊堂があります。
■国分寺銅鐘重要文化財指定100周年記念企画展を開催
海老名市温故館で企画展を開催しています。詳細は、教育総務課【電話】235・4925へお問い合わせください。
期間:2月25日(日)まで(年始は1月4日(木)から)9時~17時15分(入館は16時45分まで)
■「海老名郷土かるた」ダウンロード版
市ホームページに印刷用ファイルを掲載しています。印刷・作成して遊びましょう。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>