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自治体の皆さまへ

[特集]心のバリアフリーでやさしいまちに(2)

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神奈川県箱根町

■快挙!「車いすで巡る箱根旅観光マップ」の取り組みが世界一の評価を得ました!

《POINT 世界一の取り組みからわかった、今後のあるべき姿》
今回、世界一を獲った「車いすで巡る箱根旅観光マップ」が作られた経緯など、携わった方にインタビューをしました。
そこからわかった、課題や車いすユーザー以外の私たちにもできることはあるのかを考えていきましょう。

《INTERVIEW ~心のバリアフリーがやさしく持続可能な観光地へ~》
・箱根DMO 佐藤正毅さん
・車いすユーザー 武藤晴美さん
・作業療法士 初鹿真樹さん
・社会福祉協議会 笹川満寿美さん

▽箱根は「なかなか行けない場所」と見られがちだった。
▽心のバリアフリーがやさしい観光地となっていける。

・マップを作成した経緯を教えてください。
佐藤:箱根町は山間部に位置することもあり、坂が多く階段や段差も少なくありません。他の観光地と比べて、足腰の衰えた高齢者や障がいのある方からは、「なかなか行けない場所」と見られがちでした。
そこで高齢や障がいの有無に関わらず誰もが気兼ねなく旅行できる「やさしい観光地」を目指して、町の多くの方たちと話し合いを重ね、車いすユーザー向けのわかりやすい冊子を作成することにしました。

・当事者として旅行をする際にどんなことに気を付けていますか。
武藤:そもそも車椅子の方が何で旅行に行かないのかというと、国交省のページとかに書いてあるんですけど、足が不自由な方はまず調べるのが大変なんです。トイレだけじゃなくて、電車で行くなら、乗りかえなど、他の方よりすごく調べると思うんですよね。
あと、時間に余裕をもって出かけなきゃいけないとか、雨だったらちょっとずらしたいなとか…ルートも含めて、出る前にいろいろ頭を使うし、どこに正確な情報があるのか、なかなか掴みづらい。

初鹿:介護する際も、まずはルートを確認します。行き当たりばったりではなく、そこで障壁があったときにどうするのか確認はします。ただ、行った先で障壁があっても、人の手を借りるとかそういうことはします。

・バリアフリー情報を調べることが大変ということを踏まえて、わかりやすい冊子となるようどのように工夫しましたか。
佐藤:まず調べるのが大変で最終的には旅行を諦めるっていう問題があり、箱根のバリアフリーについて調べると、宿泊施設や個人がバリアフリーにしてるところはありました。
ただ、どこかひとつでも障壁があった場合、旅を断念せざるを得ないので、必要なのは点でなくひとつにまとめたもの。そこで公共交通と自家用車を利用した2パターンでモデルコースを作り、バリアフリー情報を写真などで具体的に掲載しました。

初鹿:車いすも多種多様で大きさなども人によって異なるので、写真でお示しされているのでとても分かりやすくなっています。

・反響はありましたか?
笹川:この冊子は1万部作製して関係各所に配布しましたが、大好評でした。社会福祉協議会で車いすの貸し出しを行っていますが、冊子も必ずお渡ししています。そうしたら、貸し出しが3倍になるなど大幅に増えました。
さらに全国各地から、「ネット見ました」とか「冊子を送ってほしい」など依頼が多く各地に送っています。

・世界一となったことで、さらに注目されると思いますが、今後について教えてください。
笹川:社会福祉協議会として心のバリアフリーを推奨していきたいと思っています。箱根は国立公園内ということもあって景観面は気をつけなきゃいけないですし、建物を直すって言ったらすごく費用もかかるので、まずは人が優しくなることが一番。
お土産屋さんやホテルなどで働いてる方たちに車椅子の使い方や店員さんに一言声をかけたら快く介助してくれるような街になったらいいよねっていうところで初鹿さん、武藤さんに協力をいただき、無料の動画を発信しました。

初鹿:今回この世界一を取ったことって、めちゃくちゃハードル上がっていると思うんですよね。
注目されていいことですけど、来た人にこんなもんだと思われたくない。町全体で心のバリアフリーがどこまで浸透しているかや、こういった取り組みを町民がどのぐらい知ってるかっていうのも重要だと思います。
日本全体で見ても1割ぐらいの人しか興味がなく、さまざまなトラブル事例があるんですが、まだまだ世の中の理解は追いついていないんだなって思います。
箱根も例外ではないと思うのでもっともっと心のバリアフリーを広げていきたい。

武藤:「福祉」って聞くと硬いイメージだったり、ハードルが高いように感じて、関係ないなって思ってしまう。入口が狭まってしまう。だからもっとフランクに「福祉で」とかではなく「困っている人がいたらちょっと手を貸してみる」みたいなことを一人ひとりが実践できれば、自然と心のバリアフリーに繋がると思います。

佐藤:官民一体以外にも町民の方も含め「オール箱根」で、やさしく持続可能な観光地にしていきたいです。

《心のバリアフリーを広めるために》
旅行従事者・住民を対象にして年に1回やさしい観光地箱根を目指して勉強会を開催しています。
今年度は介助体験なども実施していく予定なので、皆さん積極的に参加しましょう。

次ページからは障がい者・高齢者の方への町の制度を紹介しています。

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