文字サイズ
自治体の皆さまへ

BLUE CARBON(ブルーカーボン) 自分たちの海は自分たちで守り、未来へつなげていく

1/25

神奈川県逗子市

二酸化炭素など温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目標としたカーボンニュートラル。もちろん排出量を減らす努力も大切ですが、二酸化炭素などを吸収する自然環境を守ることも必要です。今月は、私たちに身近な海のカーボンニュートラルについて考えてみませんか。

■海にも“森”がある
地上では、植物が大気中の二酸化炭素を吸収して酸素を放出していますが、同じように海の中でも光合成が行われています。ワカメやコンブ、カジメなどの海藻、アマモなどの海草は、二酸化炭素を吸収し、酸素を出しながら炭素を蓄えて成長しているのです。
これらの海藻などが取り込む炭素は、森林のグリーンカーボンに対し、海の青さにちなみ「ブルーカーボン」と呼ばれています。海の“森”として藻場を再生させることで、海藻などが吸収する二酸化炭素を増やし、温暖化対策へとつなげるブルーカーボンの取り組みが近年、注目されています。

■豊かな海を取り戻す
藻場の海藻などがなくなる「磯焼け」は全国的に問題になっていて、原因は海水温の上昇、ウニや魚による食害などと考えられています。逗子も例外でなく、以前は多く見られたアカモクやヒジキなどが、今ではほとんど生えていません。
磯焼け対策として、市内ではウニ拾いが積極的に行われているほか、民間事業者や小坪漁業協同組合によるカジメの育成など藻場再生の取り組みが始まっています。カーボンニュートラルを達成するためには、グリーンカーボンに加え、海に面したまちとして、こうしたブルーカーボンの取り組みを広げていくことも大切です。

■海を守り、つなげていくために
市民、民間事業者、行政、それぞれの立場で、連携しながら進めている取り組みを紹介します。

◆[参加]海とまちが近い逗子だからできる磯焼け対策「ウニ拾い」
1年を通してボランティア団体「735style」が、また春から夏にかけて逗子マリン連盟が行っている、磯焼け対策のウニ拾いイベント。毎回、市内外を問わず多くの人が参加しています。「ウニを適正な数に減らせば藻場が戻る」と、協力する県水産技術センターの職員も話します。豊かな環境を守るためにも、一度参加してみませんか。今年の予定は、時期が近くなったら各団体のSNSなどで確認を。

◆[参加]ワッショイ!ずしかいがん 海で働く人々
海を豊かにする山、森、川、まちを考える講座です。
日時:1月27日(土)15:00~17:00
場所:市役所会議室
定員:先着40人

申込み・問合せ:1月5日以降、電話・申込フォームで、逗子市観光協会へ

◆[学ぶ]三浦半島の取り組み
逗子市など三浦半島の4市1町と日本テレビが連携し、ブルーカーボンの取り組みを検討しています。

▽日本テレビ関連番組「ウミコイ-今 海に出来ること-」
日時:毎週(水)21:54~22:00

◆[学ぶ]海藻の養殖で藻場を再生
(株)リビエラリゾートは県と連携して、通常より生育期間が短い早熟カジメを育てています。また、高幸建設(株)は、藻場再生を持続可能なビジネスモデルとすることを目指し、地元漁協やマリーナ事業者の協力のもと、カジメの海中移植を目標に陸上養殖に取り組んでいます。

◆[学ぶ]始めよう!カーボンニュートラル
ブルーカーボンへの取り組みのほか、カーボンニュートラルに関する情報を市ホームページに掲載しています。

■専門家の視点から
地球環境戦略研究機関(IGES) 金 振さん

▽海と山はつながっている カーボンニュートラルに向けて
「森は海の恋人」という言葉を耳にしたことがありませんか。森林と豊かな日本近海の密接な関係を表現した言葉です。山々が立派にそびえ立っている理由は、森林が保護膜となり砂漠化を防いでいるからです。海も緑を失えば砂漠化現象が起きます。磯焼けがその始まりです。市民、民間事業者、行政、それぞれの立場で、連携しながら進めている取り組みを紹介します。
雨が降るたびに、山から有機物が海に流れ、プランクトンや小魚のごちそうになります。そして魚たちは森にいるさまざまな鳥類や生き物のごちそうになります。また、貝類の殻は波に流され、砂浜の原料になって、潮流から国土を守る緩衝材としての役割を果たします。さらに、海底に沈み長い年月を経て石灰岩となり、やがて地盤の一部になる貝殻もあります。
森と海は互いに支え合いながら、生物多様性だけではなく、国土そのものを守っているわけです。「自然は一つ、そして命がある」こと。まずは自然との共生を理解し、未来を守るための一歩を踏み出しましょう。

問合せ:環境都市課

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU