JCHO-Column

9／13

■夜間頻尿の方はトイレの日記をつけましょう
福井勝山総合病院
泌尿器科　松田陽介

夜間頻尿は「夜間に排尿のために1回以上起きなければならない」症状です。
過去の調査で夜間頻尿は年齢とともに増え、70歳以上の方の80%が1回以上、20%が3回以上、トイレに起きるという結果でした。
夜間頻尿は転倒・骨折の原因となることもあり、夜間の排尿回数が「2回」以上の場合に治療が必要とされています。ただ、夜間頻尿は治療を始めてもなかなか良くならないことがあります。それは原因がたくさんあるからです。加齢に加え、高血圧や糖尿病の方は夜間頻尿になりやすいと言われています。夜間多尿(抗利尿ホルモン分泌障害、かくれ心不全、塩分摂りすぎ、水分摂りすぎなど)、膀胱容量の減少(過活動膀胱、前立腺肥大症など)、睡眠障害が夜間頻尿の3大要因と考えられていますが、どれが一番の問題かを見極めることが大切です。
例えば、夜間多尿の方が過活動膀胱の治療薬を使ってもあまり効果がありません。このため、治療を始める前に排尿の時間と量、就寝時間と起床時間についての日記、「排尿記録」をつけていただきます。65歳以上の方ですと、夜間の尿量が1日の1/3を超える場合が夜間多尿にあたります。
寝る前にたくさん水分を摂っても所謂ドロドロ血液は解消されませんし、夜間多尿でトイレが近くなるだけです。排尿記録をつけることで、水分をとる量や時間帯について具体的にお伝えすることができます。スマートフォンをご利用の方も多いと思いますが、最近では排尿記録のアプリも出ていますのでご興味のある方は検索してみてください。
夜間のトイレにお悩みの方は、まずかかりつけ医にご相談ください。診察、検査から生活習慣の改善のみで良いのか、薬物治療も必要かどうかを診断いたします。
すぐにサプリメントや薬をお求めにならず、ご自身の排尿状態について排尿記録をもとにご一考いただけますと幸いです。