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ふるさと昔 よもやま話 (144)

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福井県美浜町

■美浜と軽井沢の不思議なご縁~美浜ゆかりの実業家が建てた三笠ホテル~
若狭国吉城歴史資料館では、現在「北陸新幹線敦賀開業記念企画展美浜と軽井沢の不思議なご縁~三笠ホテルと美浜の実業家山本家~」を開催しています。
3月16日、北陸新幹線の敦賀開業が実現しました。これによって、北陸地方と沿線の北関東・甲信越地方との交流拡大が期待されます。開業に先立って、県は沿線の長野県軽井沢町と令和4年に「相互発展に向けた連携協定」を締結しました。
軽井沢は、江戸時代に中山道の宿場町として繁栄しましたが、福井藩主も参勤交代で訪れていました。明治時代になると、外国人や日本の政財界の要人らが夏季の冷涼な気候を好んで数多く訪れ、国際的な避暑地として発展しました。これに併せて別荘の建設も盛んになりましたが、軽井沢で日本人初の別荘を建てたのは、福井城下(福井市)生まれの元海軍大佐八田裕二郎でした。このようなご縁もあって連携協定が結ばれましたが、実は本町と軽井沢町にも歴史が結ぶご縁があります。
明治後期以降、軽井沢では別荘と併せて西洋式ホテルの建設も進み、「避暑」という新たな娯楽がより普及していきました。それに大きな役割を果たしたのが、三笠ホテルです。
このホテルは設計・施工のすべてが日本人による純西洋式木造ホテルで、明治39年に開業しました。今年、新1万円札の顔となる渋沢栄一や作家有島武郎等の著名人や外国人らが数多く利用したことから「軽井沢の鹿鳴館」と謳われました。
その創業者は実業家の山本直良(なおよし)で、彼の父は幕末の佐柿に生まれた実業家・山本直成(なおしげ)です。直良は、父直成が軽井沢に購入した土地25万坪の開発を計画しましたが、その計画の中心が三笠ホテルの開業でした。このように、美浜ゆかりの実業家が軽井沢の近代化に大きく貢献していたのです。
ホテルには、英国製の浴室設備やプール等があり、直良が奨励した三笠焼の製作所も置かれました(「敷島美観」下)。営業は昭和45年まで続き、同55年に国の重要文化財に指定され、同58年に内部の一般公開が開始されました。なお、現在保存修理工事が行われ、来年夏頃まで休館中です。
企画展は前期・後期の2期に分け、前期は避暑地軽井沢と三笠ホテルの歴史、後期は美浜に残る実業家山本一族の足跡を中心に取り上げます。会期は10月14日(月・祝)までで、会期中に展示替えを行います。皆さんのご来館をお待ちしています。
(若狭国吉城歴史資料館)

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