美浜1号機:廃止措置中(平成29年4月19日~)
美浜2号機:廃止措置中(平成29年4月19日~)
美浜3号機:運転中(令和6年2月14日~)
■日本原子力研究開発機構 高速増殖原型炉もんじゅについて
高速増殖原型炉もんじゅは、高速増殖炉の実用化に向けた技術基盤の確立や信頼性の実証を目的に建設されました。
平成6年4月に初臨界、平成7年8月に初発電を果たしましたが、同年12月に発生した2次系ナトリウム漏えい事故等により、長期間運転を停止していました。その後、平成28年12月に開催された原子力関係閣僚会議において、もんじゅを廃止する方針が決定され、平成30年4月から廃止措置が進められています。
今月号では、もんじゅの廃止措置に係る状況や作業状況等についてお知らせします。
▽高速増殖炉の仕組み
高速増殖炉は、冷却材にナトリウムを使用しており、中性子の速度を落とさず、速度の速い中性子で核分裂連鎖反応を起こすことができます。速度の速い中性子で核分裂をさせる方が、核分裂で発生する中性子の数が多いという性質があります。
この性質を利用して、高速増殖炉ではプルトニウムを燃料に発電を行いながら、余剰中性子を核分裂しにくいウラン238に吸収させ、発電で消費した以上に燃料として使えるプルトニウム239をつくり出す(増殖する)ことができます。
※詳しくは、本紙をご覧ください。
■もんじゅの廃止措置に係る状況について
もんじゅでは、平成30年度から令和4年度までの5年間を「燃料体取出し期間(第一段階)」とし、原子炉容器に保管されていた燃料体(370体)が燃料池へ移送されました。
令和5年度からは「解体準備期間(第二段階)」に移行し、水・蒸気系等発電設備の解体や原子炉容器からしゃへい体等(※)を燃料池へ移送する作業が実施されています。
※しゃへい体等とは
次のものの総称で、第二段階開始時点で原子炉に合計595体が残っています。
(1)中性子しゃへい体:燃料の外側に配置されていて、運転時に燃料で発生する中性子を原子炉外に出にくくする役割。サーベイランス集合体・試験用しゃへい体等
(2)制御棒集合体:主に中性子を吸収するホウ素でできていて、原子炉の制御(起動や停止等)に使用。
(3)中性子源集合体:原子炉を起動させる時の中性子源として使用。
(4)模擬燃料体:第一段階で取り出した燃料と入れ替わりで挿入した模擬燃料体。
◆原子炉からの燃料体及びしゃへい体等の移送
※詳しくは、本紙をご覧ください。
▽しゃへい体等取出し作業の中断
しゃへい体等を燃料池へ移送する作業において、令和5年10月に炉外燃料貯蔵槽から燃料洗浄槽へ、サーベイランス集合体の移送作業を実施していたところ、燃料出入機から警報が発報しました。この原因を調査した結果、炉外燃料貯蔵槽からサーベイランス集合体のみを吊り上げるところ、燃料移送ポットを一緒に吊り上げたことにより、燃料洗浄槽に挿入できなくなったことによるものと判明しました。1月に、この燃料移送ポットを引き上げる作業が行われ、既に撤去が完了しています。
その後、2月から4月にかけて、しゃへい体等取出し作業に使用した機器(燃料出入機本体、燃料洗浄設備等)の点検を実施した結果、いずれも外観や作動状態に異常がないことが確認されました。
◆しゃへい体等の移送手順及び作業中断箇所
※詳しくは、本紙をご覧ください。
▽再発防止策
移送対象物のみを吊り上げたときの重量を運転手順書に明記し、実際に吊り上げた際の実測値と差異がないことを確認し、移送対象物以外の吊り上げを防止することとしています。
▽今後の予定
しゃへい体等取り出し作業に係る検査を9月から実施し、10月頃に再開する予定です。また、点検対象機器や点検内容の見直し等を進めることで、当初の予定通り、令和8年度に作業を完了する予定としています。
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