■―『小粕窯跡』編(4)―
E子:こんにちは。
学H:こんにちは。今回も続けて小粕窯跡について紹介していきます。
前回までは、1号窯と2号窯についての説明を行いました。覚えていますか?
E子:確か1号窯と2号窯では発掘調査が行われましたが、3号窯は踏査によって発見されたということであっていますか?
学H:その通りです。3号窯は発掘調査後の平成五年(一九九三)に発掘現場裏の土砂採取でできた掘崩斜面上端(ほりくずしゃめんじょうたん)から発見されました。付近の土砂からは赤く被熱した窯壁片多数とコンテナ箱一杯分の平瓦片が採集されています。窯壁片の様子から窯体は破壊されてしまったと推測されています。須恵器片も見つかっているため、須恵器も焼成していたのでしょう。
E子:小粕窯跡では1号窯から3号窯の全てで瓦が見つかったと話ししていましたが、どのような瓦が見つかっているのですか?
学H:小粕窯跡からは、花弁中に子葉を入れ、中房の周囲および外区に珠文が巡る軒丸瓦や、重孤文と瓦当下端部に指先で波状文を施す軒平瓦が出土しています。
これは滋賀県東部の愛知郡、蒲生郡を中心に寺院跡から出土する湖ことうしきのきがわら東式軒瓦の特徴と一致しています。発見当時、湖東式軒瓦は滋賀県のほか岐阜県でしか出土しておらず、福井県では初の出土となりました。
E子:滋賀県東部の寺院跡から出土する湖東式軒瓦が小粕窯跡で見つかったことに驚きました。
学H:次回も瓦について説明していきます。
[引用・参考文献]
織田町教育委員会『小粕窯跡発掘調査報告書』一九九四年
越前町教育委員会『越前町織田史(古代・中世編)』二〇〇六年
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