越前町は町の大半が丹生山地に属していることから、自然が豊かで多くの野生動物が生息しています。
山の中にいるだけなら良いのですが、中には里へ下りて農作物を荒らしたり、屋根裏に侵入したりと人に被害を与えるものもいます。
集落内で出没する野生動物の種類や、対策方法、被害を減らすために町が取り組んでいることをご紹介します。
■クマ
昨年、東北地方の市街地でクマが頻繁に出没するなど、ニュースでも連日話題となりましたが、県内でも勝山市・越前市で人身被害が発生しました。
町内では幸い人身被害はありませんでしたが、多くの目撃情報が寄せられています。
本州に生息しているクマは[ツキノワグマ]で、春は山菜や木の芽、秋はドングリや柿など、基本的に植物を食べるクマのため、進んで人に襲い掛かることはありませんが、出会い頭で驚いた時や、子連れの母グマなどは、人に危害を加える恐れがあります。
山際のヤブの刈り払いや、利用しない柿・栗の木を伐採するなど、クマを集落に寄せ付けない環境を整えることが重要です。大規模な環境整備については支援を受けられる場合もありますので、ご相談ください。
屋外で作業する時や山に入る時は、クマ鈴やラジオなど音のするものを携帯し、前もって人の存在を知らせることで、クマとの遭遇を避けましょう。
また、クマを目撃した時は農林水産課までご連絡ください。職員や猟友会によるパトロールの実施や、防災行政無線での注意喚起、警察・学校・保育園などと情報共有を行い、人身被害の防止に努めています。
■ハクビシン・アライグマ
屋根裏から大きな足音がする場合は、ハクビシンやアライグマが入り込んでいる可能性があります。特に古い家の場合、床下の換気口が破損していたり、軒裏に隙間があると侵入される恐れがあります。エサを取りに出入りするので、家の周りに足跡や、柱や壁に引っかいたような跡がないか確認し、侵入経路となる隙間を塞ぎましょう。それでも解消しない場合は、捕獲を実施することもできるのでご相談ください。
※獣の種類によっては捕獲できないものもあるのでご了承ください。
■サル
サルは柿などの果物だけでなく、タマネギやトマト、カボチャ、豆類なども大好物です。食害時に食べ散らかすのも特徴です。
町内に出没しているサルの群れは[越前B群]という群れで、行動範囲は広く、北は福井市の健康の森周辺から南は越前市の大虫地区まで、エサを求めて移動しています。町内では朝日地区・宮崎地区の東側を通ることが多く、畑の野菜の食害だけでなく、特に悪質なサルによる納屋・家屋への侵入も起きています。
この群れは、10年前には63頭の大きな群れでしたが、鯖江市・越前市と連携し捕獲を進めており、現在では25頭ほどまで減ってきています。また、群れの中に首輪を着けたサルがいますが、これは電波発信機を着けたサルで、受信機を持って近くまで行くと電波を拾うことができ、サルの群れの位置がわかるようになっています。
サルの目撃情報は[サルどこネット]で見ることができ、登録すればメールで受信することもできます。サルの接近が分かれば、事前の対策や追い払いの準備をすることができますので、サルの被害にお困りの人は、ぜひご登録ください。
エサの無い場所や、エサを食べにくい場所(=人が追い払いをしてくる場所)はサルの滞在時間が短くなったり、近寄らなくなったりすることがわかっています。追い払い用の花火を配布していますので、区長・農家組合長を通じてお申し出ください。
※「サルどこネット」メール受信希望の人は農林水産課でご登録ください。
■シカ・イノシシ
町内で農作物に一番大きな被害を及ぼしているのがシカ・イノシシです。シカは田植えしたばかりの苗や、越前海岸の水仙を球根まで食べてしまいます。町内には10年程前はシカはあまりいませんでしたが、繁殖力が強く、爆発的に数を増やしています。
イノシシは田んぼのあぜを掘り返したり、野菜やタケノコを食べてしまったりする害獣です。一時期、数を減らしていましたが、近年は再び増加傾向にあります。雪が少ないと増えるとも言われています。
町ではシカ・イノシシへの対策として有害捕獲を進めています。令和5年度はシカを414頭、イノシシを336頭捕獲しましたが、まだまだ被害は出ており、今後も継続して取り組む必要があります。
捕獲に加えて、侵入防止柵の整備に対する支援も行っています。適切な見回り・管理をすれば、5段張りの電気柵でシカ・イノシシの侵入を防ぐことができます。支援を受けるには集落単位での計画・申請が必要となるなど、要件がありますのでご相談ください。今後も更なる対策を進め、被害の軽減に取り組んでいきます。
問合せ:農林水産課
【電話】34-8704
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