■医師より大切なメッセージ
(公財)福井県健康管理協会 県民健康センター所長 医師 田中正樹先生
~けんしん(特定健診・がん検診)を受けましょう~
糖尿病、高血圧、脂質異常、がんといった生活習慣病は、初めは症状がありません。そのため自分の体の異常を自覚するためには「けんしん(健診・検診)」(以下「けんしん」と記載)が必要です。「けんしん」を受けることで、病気を早期に発見し、治療につなげることはもちろん、毎年結果を蓄積していくことで自分の体の状態の変化を把握して、生活習慣を修正していくこともできます。
メタボリックシンドロームは内臓脂肪がお腹に溜まることにより、脂質、血糖、血圧等の異常が重なってくる状態で、心臓病や脳卒中などの生活習慣病のリスクを高めます。現在、このメタボリックシンドロームに着目した特定健診が40歳から74歳までの人を対象に行われています。メタボリックシンドロームは適切な生活習慣を身に付けることにより予防が可能です。特定健診の結果から、生活習慣病になるリスクが高い人には特定保健指導が行われます。保健師や管理栄養士などの専門スタッフが、面談やメール、電話などで生活習慣改善のお手伝いをします。生活習慣病を予防するために、40~74歳の人は毎年特定健診を受けましょう。
また、がんで命をなくさないように定期的にがん検診を受けましょう。がん検診には良いことも悪いこともあります(※1)が、現在市町で行われている5つのがん検診(胃がん・大腸がん・乳がん・子宮頸がん・肺がん検診)については、対象になる年齢の人が決められた方法で、適切な検診間隔で行う場合には、メリットの方がより多いことが分かっています。特定健診と共に、安心してがん検診も受けてください。
「けんしん」を受けただけで、後はほったらかしでは意味がありません。自分の「けんしん」結果は必ず確認して、要治療や要精検を指示されている場合には放置しないようにしてください。せっかく受けた「けんしん」の結果を自分の健康保持・増進に生かしましょう。
※がん検診のメリット・デメリット(日本対がん協会ホームページより)
〔メリット〕
(1)救命の効果があります。
(2)早期のがんを発見できます。
〔デメリット〕
(1)判定・診断の結果が100%正しいというわけではありません。
(2)検査によっては、身体に負担がかかってしまうことがあります。
■特定健康診査とは
医療保険者が40歳から74歳までの加入者を対象に実施する健診です。市では、国民健康保険加入者を対象に受診券の発行や集団健診の実施、受診の勧奨などを行っています。
◇特定健康診査の仕組み(医療保険者によって異なります)
■検診で助かる命があります
がん検診の目的は多くのがんを見つけることではなく、がんを早期に見つけ、適切な治療を行うことで、がんによる死亡率を減らすことです。
◇40歳からの大腸がん検診のススメ
部位別のがん死亡数(2020年)で見てみると、大腸がんは男性では第3位、女性では第1位となっています。
大腸がんの罹患率は50代から増えていき、60代で急増していきます。40歳から大腸がん検診を定期的に受けることが大切です。
(出典…国立がん研究センターがん情報サービス全国がん登録)
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