バトントワリング選手 三原椛怜(みはらかれん)さん(12)
鯖江中1年。世界大会では1分45秒の課題曲に合わせて自由演技する「アーティスティックトワール」の女子ユース部門(12~14歳)に出場。バトントワラーズフェリーチェ(福井市)所属。お城ファンでもあり、「長野県にある上田城がかっこいい」。
《あふれる情熱、バトンに乗せて》
金属の棒「バトン」をスピーディーに操りながら全身で表現するスポーツ「バトントワリング」。レベルの高い国内にあって、頭角を現している注目のホープだ。今夏、世界大会に初出場し、いきなり準優勝をつかんだ。「難しい技を一つ一つマスターしていくのが楽しい。大好きなバトンで誰よりも上手くなりたい」。透き通る笑顔の12歳は、世界を見据えて静かに燃えている。
4歳のころ、市内であったバトントワリングの講座に家族で見学に行った。「娘に何かスポーツを」と思った母・理恵さんがたまたまチラシで見つけたのがきっかけだ。
会場では受講生たちがくるくるとバトンを回している。「なんだかおもしろそう」。見よう見まねで回しているうちに夢中になり、気が付けば音楽に合わせて体が動いていた。
見学があまりに楽しかったのだろう。家に帰った後も新聞紙を丸めたものを回して「練習」していたのを理恵さんはよく覚えている。教室通いを決めるまでに時間はかからなかった。
以降、当時から今まで、バトンとは切っても切り離せない日々が続いている。現在も「練習をするか、学校に行くか、家で宿題をしているかのどれか」と笑うほど毎日がバドンづくしだ。
バトントワリングは20世紀初頭の米国が起源とされている。音楽隊の指揮者が指揮棒を振っていた動きが原型で、技術的な進歩を遂げ、芸術性の高いスポーツへと発展していった。
バトンを操るバランス感覚と表現力、そして競技への情熱―。バトントワラーとしての素質と非凡さを長年感じてきた指導者・仙石晴子さんの勧めで今年3月、国内の選考会に出場。6位に滑り込み日本代表の座をつかんだ。
「あなたが一番好きな技をしてきなさい」。今年8月にあった英国での世界大会。10人に絞られて臨んだ決勝前、仙石さんの口から出たのは思いがけない言葉だった。初の海外、初の決勝。経験のない大舞台だからこそ、気負わずに楽しんでほしい。恩師のメッセージに「はい」と二つ返事で応じると、全身に力がみなぎった。体も魔法にかかったように軽い。こん身の演技をノーミスでつなぎ、最後はバトンを空中に高く投げる「エーリアル」と体の回転を合わせた大技で締めくくった。
持てる全ての力を出し切った末の準優勝。だからこそ、その手応えは格別だ。「イギリスでの経験を経てバトントワリングがさらに好きになった。練習を積んで、また世界の舞台に立ちたい」
全国でも珍しい「市民主役」を掲げる鯖江市。この街で暮らす『主役』の皆さんの応援歌を書きたい!そんな思いで編集担当職員が取材に伺います。自薦・他薦は問いませんので、情報をお寄せください。(※日程などの都合で取材に行けない場合もあります)
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