自然界にはもともと持続可能なシステムが備わっています。
しかし開発や汚染などで生態系が崩れると、自然災害や鳥獣被害、種の絶滅などにも繋がります。ニホンウナギも絶滅危惧種のひとつ。
そのニホンウナギを守るために始まった山門高等学校Oneヘルスクラブの「飯江川上流100年の森」づくりの取り組みが、このたび第57回全国野生生物保護活動発表大会で「林野庁長官賞」を受賞しました。
森と里と海の繋がりのシンボルともいえるニホンウナギの調査研究を通して、生徒達は多様な生物や植物が住むことのできる森や河川の在り方について学んでいます。
人と動物と自然環境の健康を守る、山門高等学校Oneヘルスクラブの取り組みをリポートします。
■自然本来の力を取り戻そう 山門高等学校Oneヘルスクラブの挑戦(その1)
山門高等学校Oneヘルスクラブには1年生から3年生まで18人が所属しており、その活動として、現在、ウナギの保護区づくりに取り組んでいます。飯江川での放流ウナギの追跡調査や清水山の土壌の調査、飯江川上流の森の樹種調査を行い、その研究の成果を、さまざまな場所で発表しています。
山門高等学校では、稚魚の捕獲に必要な特別許可を得てシラスウナギを採捕。体長が70mm以上に成長するまで学校の水槽で飼育し、柳川の堀割と飯江川に放流。定期的に再捕獲、再々捕獲を行って成育状況を調査してきました。
稚魚が飼育されている水槽には、クスノキの落葉が。これは顧問の木庭慎治教諭が考えた独自の飼育方法で、これにより水の腐敗がなくなり、稚魚が感染症に罹らなくなったといいます。木庭教諭は「水槽内が、健全な森の腐植層と同じ環境になっているからではないか」とみています。
捕獲して個体識別をしたウナギは、2回冬を越し、3倍から4倍に成長していました。
生徒からは「現地で放流や調査を体験することで、自然環境や生き物が住みやすいってどんなことか、身近な問題になりました」との感想が聞かれました。
次回は、豊かな里山を取り戻すための取り組みについてリポートします。
問合せ:企画振興課 ワンヘルス総合推進室
【電話】88-9754
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