1月号では、森と里と海の繋がりのシンボルともいえるニホンウナギの調査研究を通して、自然が本来持つ持続可能なシステムとは何か、生き物が住みやすい環境とはどういうものかを学ぶ山門高等学校Oneヘルスクラブの取り組みをお伝えしました。
その中で生徒達は、山と海は川を通して繋がっており、山の環境が川や海の環境に影響を与えていることに着目。
今月は、豊かな里山を取り戻すためのOneヘルスクラブの「飯江川100年の森」づくりの取り組みをリポートします。
■豊かな里山を取り戻そう 山門高等学校Oneヘルスクラブの挑戦(その2)
飯江川上流域の山間部では、竹林が拡大し、森の土壌の吸水力が低下しています。そのため、短期間の大雨でも土砂災害につながる可能性が高くなっているだけではなく、竹林が覆うことで日照時間が減り、他の木々や植物が育たなくなる悪循環を繰り返し、竹林の拡大がさらに進行してしまいます。
山門高校「Oneヘルスクラブ」は、多くの生き物が住める自然を取り戻す活動をしている「山川ほたる保存会」と連携し、竹林を伐採して広葉樹を増やし、広葉樹の森に戻していく活動にも取り組んでいます。
広葉樹は、成長がゆっくりとしていて大木になるまでに期間を要しますが、杉や檜などの針葉樹に比べて自然林に近く、天然更新を行うので、しっかりと根を張ることができ、斜面安定にも寄与するということです。
森の再生事業は令和4年2月、「平家一本桜」で知られる天保古山山頂の近くで、竹林を伐採することから始め、そこにイロハモミジやヤマザクラを植えましたが、あまり成長していません。しかし、鳥が種子を運んで自生したエノキやムク、イヌビワなどの木々は勢いよく成長しています。
「鳥にワンヘルスを教えられました」と木庭教諭。枯れ葉が大地に腐食層を作ることで、森の吸水力が増し、微生物の活動も活発化するとのことで、その変化についても調査を続けています。
クラブ員の江頭希美さん(1年生)は「広葉樹が大きく育つには50年、100年を要します。それに比べると、私たち一人ひとりが携われる期間は短い。だからこそ、自然本来の循環を取り戻し、このことの大切さを、次世代にしっかりと伝えていくことが必要だと思うようになりました」と話しています。
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