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【特集】自分らしい生活を送るために(2)

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福岡県久留米市 クリエイティブ・コモンズ

■〔人生会議の「ススメ」〕最期の過ごし方を周りの人と話し合う
人生の最期をどう過ごすか。考えたくないし、縁起でもないと敬遠しがちです。でも、年齢問わず誰にでもその日は訪れます。最期まで自分らしく生きるには、家族など周りの人に思いを伝える日頃のコミュニケーションが大切です。

◆7割が意思表示できない
大きな病気やけがで命の危険が迫った状態になると、7割の人が意思表示ができなくなるといわれています。ところが、周りの人は治療方針についてすぐに答えを出さなければなりません。意思が分からないまま出した結論が、本人が望むものだったのかと悩み続ける場合もあるといいます。
日々の看病の場面でも、本人に病状をどう伝えるか、延命治療をするかどうか、最期を迎える場所はどこにするかなど、その都度難しい選択を迫られます。

◆残りの人生をどう生きる
新聞やテレビで「終活」が話題になる機会が増えてきました。「人生の最期」に向かって、あらかじめ備えておくことです。最近では、備えだけでなく「残りの人生をどう生きるか」という前向きな考え方に変わってきています。そこで久留米市は「人生会議(注釈)」を勧めています。もしものときの医療や介護の希望について、周りの人と日頃から話し合い、共有することです。
(注釈)ACP(アドバンス・ケア・プランニング)を言い換えた表現

◆自分の思いに向き合う
最期の時を考えるのに「余命わずか」を想定し、自分の思いを整理する「もしバナゲーム」という方法があります。「恋の話」は恋バナ、もしもの話を略して「もしバナ」と言います。
10月4日、浮島校区高齢者学級の皆さんは、ゲームを体験しました。「痛みがない」「人との温かいつながりがある」「いい人生だったと思える」などが書かれたカードから、自分の思いに近いものを選び、最も欠かせない3枚に絞ります。他の人の話を聞くと、価値観や考え方に違いがあることも分かります。
参加した江島頼子さんは、「これまでいろんな人の最期を見届けてきました。父は、家族に見守られ、『みんな仲良くせやんよ』と言って旅立ちました。私も家族や友人との交流を大切にしてきたので、医療や介護の希望を子どもたちに伝えておきたい」と話しました

◆ノートを手がかりに話し合う
市は、「私の生き方ノート」を配布しています。治療や介護方針を話し合う手がかりになるものです。治療や介護の希望、最期の過ごし方、いざという時に代弁してくれる人などを書いておきます。法的な権利は発生しないので、何度でも書き直せます。ノートは市健康推進課や各総合支所市民福祉課、地域包括支援センターなどに設置。市ホームページからダウンロードもできます。
誰も自分の最期は経験したことがありません。不安になったり感情が揺れ動いたりするので、今は考えたくないという人への配慮も必要です。あらたまって会議をしなくても、何気ない会話の中に、お互いの人生観を話すきっかけがあります。

《周りの人と話したい「最期」のこと》
「私の生き方ノート」から、人生会議をするのに大事なポイントを紹介します

(1)自分が大切にしたいことを考える
今の考え方を示しておくと、将来周りの人が判断する時に役立ちます
◇もしもの時、自分が大切にしたいことは?
・家族や友人のそばにいる
・身の回りのことが自分でできる
・少しでも長く生きる
・家族の負担にならない
・痛みや苦しみがない
・できる限りの治療を受ける
◇生き続けるのが大変な時、自分はどう過ごしたいか?
・治療やケアを受けて長く生きたい
・今以上の積極的な治療やケアは受けたくない
・痛みやつらい症状は取り除いてもらうが、延命治療は受けたくない

(2)周りの人と話し合い、共有する
家族や医療・介護関係者など、自分の思いを伝えてくれる人を決めて、価値観や人生観を共有しましょう

(3)話し合った結果を書きとめる
話し合ったことは書いておくのがオススメ。希望や思いは変わることもあるので、繰り返し話し合いましょう

◆訪問診療の医師にインタビュー
むたほとめきクリニック 院長 牟田文彦さん

◇医療や介護の専門職が支援
患者さんに病状を説明すると、「私は延命治療せず、このままでいい」と言う人も多いです。ところが、呼吸が浅くなると家族は慌てて救急車を呼び、本人の意向に添わない最期を迎えることも。人生の最期をどう過ごしたいかは人それぞれです。思いは揺れ動くので、相談できる相手がいると安心です。迷いに寄り添いながら、希望に合う医療や介護サービスが受けられるよう、専門職が支援できるので気軽に相談してほしいです。

問い合わせ先:健康推進課
【電話】0942-30-9729
【FAX】0942-30-9833

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